GT-R神話を築いた初代「ハコスカGT-R」について3分で学ぶ!

日産「スカイラインGT-R」という名前には聞き覚えがあると思います。もっとも、思い浮かべるクルマのカタチに関しては、その人の年齢によって大きく変わると思いますが…。筆者のようなおっさんが、「スカイラインGT-R」と聞いて連想するのは、上写真にあるように、いわゆる「ハコスカ」ですよね。今回は、そんな”おっさんは大好き&若者は初めまして”な「ハコスカGT-R」について学んでみましょう。

当時最高グレードのスポーツカー

「スカイラインGT-R」は、かつて日産自動車が「スカイライン」の最上級、最高級グレードとして生産・販売を行っていたスポーツカーです。

1968年に製造された3代目「スカイライン」をベースに、同社のレーシングカー「R380」に積まれていた「GR8型」エンジンの改良版「S20型」エンジンを搭載することで完成したのが「スカイラインGT-R」となります。

ニッサンR380

R380 (1966).

「R380」は、プリンス自動車工業が開発した日本初のプロトタイプレーシングカーで、プリンス自動車と日産自動車の合併後、「ニッサンR380と改名されました。

7種目の国内速度記録を達成し、第三回日本グランプリでは総合優勝。1968年の日本グランプリも総合優勝という輝かしい成績を残した、まさに日本の純レーシングカーでした。

S20型エンジン

「S20型」エンジンは、プロトタイプレーシングカー「R380」に搭載されていたレース用「GR8型」エンジンをベースに、公道対応用にデチューンされたエンジンです。このDOHC直列6気筒24バルブエンジンは、1969年に「S20型」エンジンと命名され、「スカイラインGT-R」に搭載されました。

後に「KPGC110型スカイラインGT-R」と「S30型フェアレディZ432・432R」にも搭載されましたが、1973年の排出ガス規制に適応できず、1973年3月を以って製造終了となりました。

  • 冷却方式:水冷
  • 動弁機構:4バルブDOHCリフタ直駆動式直列6気筒
  • 内径×行程:82×62.8mm
  • 総排気量:1,989cc
  • 圧縮比:9.5
  • 最高出力:160PS/7,000rpm
  • 最大トルク:18.0kgf·m/5,600rpm
  • 燃料:有鉛ハイオクガソリン
  • 燃料供給装置:ミクニ・ソレックスN40PHHキャブレター×3
  • オイル容量:6リットル
  • 寸法:810×720×630mm
  • 乾燥重量:199kg

「GT-R」は4ドアセダンだった!?

NISSAN SKYLINE 2000 GT-R

そんなレーシングカー譲りの「S20型」エンジンを搭載したのは、何とごくごく普通のセダンです。何せ1969年登場時の「GT-R」は普通の4ドアセダンだったのです。これはベースとなった「スカイライン」のボディが、4ドアセダンしかなかったためです。

「GT-R」は、このおとなしいボディに獰猛なエンジンを搭載したことから、先代となるプリンス「スカイライン2000GT-B」の“羊の皮を被った狼”というキャッチフレーズを、そのまま受け継ぐこととなりました。この時の型式が「PGC10型」となります。

KPGC10型

1970年にホイールベースが70mm短縮された2ドアハードトップボディが追加され、「GT-R」はKPGC10型となりました。フレーム剛性はそのままに若干軽量化され、空気抵抗を低減し、ホイールベースが短縮化されたことで、運動性能も上がったことから、「GT-R」の人気も急上昇します。

また、他の変更点として、リアホイールアーチにFRP製の黒いオーバーフェンダーが装着され、フェンダーミラーが砲弾型からタルボ型となり、フロントグリルも変更されました。一般的に「ハコスコGT-R」と呼ばれているのは、このKPGC10型のことです。

運転に必要な装備以外は全てが不要!

「GT-R」のインテリアは、ドライバーが運転する上での装備が充実していましたが、逆に不要なもの(贅沢なもの)はほとんど無い点が特徴です。

シートは合皮張りのバケット型でリクライニング機能はなく、後席の乗降時は座席全体を前に投げ出すようにして乗り降りしていました。また、運転席側には三点式シートベルトとヘッドレスト、サンバイザーが標準で装備されていましたが、助手席側は全てオプション装備でした。ヒーター、ラジオ、時計、ドアポケットでさえもオプション装備となっています。

クラス優勝を含む50勝を達成

「スカイライン」は初代からモータースポーツに参戦していましたが、特に「GT-R」はレースを主眼においたモデルで、国内のレースで100勝を達成したマツダのロータリー勢としのぎを削りながら、クラス優勝を含む50勝を越す勝ち星を獲得しました。

GT-R神話を築いたKPGC10型

そんな”GT-R神話”を築き上げた「ハコスカGT-R」ですが、1972年にフルモデルチェンジされることとなり、姿を消していくこととなります。総生産台数はPGC10型が832台、KPGC10型が1,197台と言われています。

国内外を問わず人気の的!

そんな「ハコスカGT-R」は、国内でも非常に人気が高く、プレミア価格で取り引きされていますが、その人気は国内に留まらず、海外でも人気の的です。

写真の「ハコスカGT-R」は、1972年製のKPGC10型で、先日、米国、カリフォルニアで開催された、ペブルビーチ・コンクール・デレガンスでオークションに出品される車両になります。販売元のグッディング&カンパニーによると、18万7,000ドル(約1,870万円)で落札されたとのことです。もはや、「トヨタ2000GT」とあまり変わらない金額になってしまいましたね。

筆者が青年だった頃は、ちょっと無茶なローンを組めば、どうにかなるかも…程度の金額でしたが、もはや手も足も出ない高みに登り詰めてしまった感がありますね。ちなみにかつて筆者の父は「スカイラインGT」を駆っていましたが、弟が生まれたために「ファミリア」に乗り換えたという、残念な思い出があります。

「GT-R」ではありませんでしたが、ハコスカGTもかなりカッコ良かった。子供ながらに一番好きなクルマだったと記憶しています。

参考 – HiConsumptionGooding & Company

センカクダイバー

センカクダイバー

悲運の元パチンコ・パチスロライター。ベスパ歴27年、ミニクーパー歴2年のモッズ系猛禽類。旧車を好むクセに機械イジりや整備はサッパリというご都合主義者。