日本で高級車というとベンツのイメージが強いが、職人が手作業で1台1台作り上げるイギリスのベントレーは、さらに格上な感じ。特に、ベントレーのフラッグシップモデル「ミュルザンヌ」は、ベントレーの本拠地クルーの工場で、約400時間を掛けて一からハンドクラフト。溶接や塗装などすべて、熟練工が長年培った勘と技で作り上げる、まるで芸術品のようなクルマだからだ。
その「ミュルザンヌ」の新型モデルが、3月1日〜3月13日にスイスで開催された「ジュネーブモーターショー2016」で発表された。
フロントエンドやテール周りを一新
新型は、まずフロントエンド(Aピラーより前方)のデザインを全面的に一新。縦ルーパーが入ったステンレス製グリルは、従来モデルより80mmワイド化され、より個性的なスタイルを生み出すことに貢献する。フロントバンパーやラジエターシェル、ボンネットなどは、接合面をフラットかつシームレスに。また、ボディサイドのウイングベントも新デザインとするなどで、全体的に高級感をさらにアップさせている。
熟成のV8エンジンを搭載
エンジンは、スタンダードの「ミュルザンヌ」が最高出力512PS(377kW)、最大トルク104kgf・m(1,020 Nm)という強力な6.75リッターV8エンジンを搭載する。また、上級バージョンの「ミュルザンヌ・スピード」には、6.75リッターV8ツインターボエンジンを採用。最高出力537PS(395kW)、最大トルク112kgf・m(1,100Nm)というビッグパワーを発生する。
トランスミッションはZF型8速オートマチックで、最高速度は「ミュルザンヌ」が296km/h、「ミュルザンヌ・スピード」はなんと305km/h!
走行条件に応じたモード設定が出来るほか、「ミュルザンヌ・スピード」ではエアサスペンションを硬めに変更し、しっかりとした走りが楽しめるSportモードも設定されている。
上質な内装や最新システムも採用
ミュルザンヌの真骨頂は、やはりインテリアにある。内装の製作だけで150時間はかかるというだけあって、そのラグジュアリーな雰囲気はまさに最高峰だ。シートやアームレスト、ドアトリムなどは全て新デザイン。上質なレザーは手触りも柔らかく、触るだけで(きっと)うっとり。インフォテイメントシステムも一新され、メインディスプレイには8インチのタッチスクリーンを採用。車載メディア用ストレージとなる60GBのソリットステートドライブにも接続。18スピーカー、19チャンネル、2,200ワットのアンプとスーパーツイーターを採用。車内のオーディオシステムも最高レベルを標準装備する。
安全性の向上にも抜かりがない
また、最新テクノロジーも駆使することで、安全性の向上にも抜かりがない。片側2灯のLEDヘッドライトは、照射範囲を車速や走行状況に応じて自動制御することが可能。後方の車両が死角に入ったことをしらせる、ブラインドスポット・ウォーニングシステムなども採用する。
安全で速く、しかも快適。特に、ゆったりくつろげるインテリアは、ある意味究極のラグジュアリー…まさに”走る高級リビング”だ。お値段はまだ不明だが、前モデルがスタンダードで3,500万円。まぁ、これより安くなることはないだろう。日本導入は2016年秋の予定だ。
参考 – ベントレーモーターズジャパン