ベスパが製造していた小っちゃすぎるクルマ「VESPA400」

先日、マリオカートが行動で走っている瞬間に出くわした。まず頭の中から飛び出て来た言葉は「こんなとこ走っていいの?」であり、次いで「小さい!」である。

ホンの一瞬の出来事ではあったが、やはりインパクトのある車両を見かければ記憶には強く残るし、それは「小さい!」という印象においても同様である。軽自動車の規格が大きくなった昨今、小さい車というのはそれだけで人に強い印象を残すものなのだ。

そこで今回はマイクロカーと呼ばれる、かつての軽自動車サイズの自動車について語っていこうと思う。

VESPA唯一の4輪自動車

Embouteillage de Lapalisse 2012 - Vespa 400

「VESPA400」という車両がかつて存在した。その名の通りイタリアのスクーターメーカーであるピアジオ社が世に送り出したベスパの中の1つだ。ただし、他のベスパと大きく一線を画しているのは、この車両が4輪であるということだ。そう、VESPA400とはピアジオ社が唯一、生産した4輪自動車のことなのだ。

フランスのACMA車が製造・販売

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VESPAのヒットにより、数々の名スクーターを生み出したピアジオ社は「マイクロカー(もしくはバブルカー)」と呼ばれる軽自動車業界への参入を考えた。設計自体はピアジオ社が行い、製造は当時ベスパの製造ライセンスを持っており、最強VESPAと名高い軍用車両を世に送り出したフランスのACMA社が担当することとなり、完成したのがVESPA400である。

プロトタイプの発表が1956年、翌57年フランスで行われたパリサロンにて初披露され、正式に発売されることとなった。

コンパクトなボディで最高速度は90km/h

2ドア、2シーター、モノコックボディ、屋根からリアウインドウにかけてはキャンバストップを採用。全長2,835mm、全幅1,270mm、全高1,250mmというコンパクトなボディに、車重は360kg。

空冷2気筒2ストロークエンジンを搭載。14hpを叩き出し、最高速度は90km/hというスペックであった。

フィアット500に破れて製造中止に!

燃費が良かったことも幸いし、フランス国内ではそれなりにヒットし、アメリカ向けに約1,600台が発売されるほどとなった。しかし、フランスコンパクトカー市場への進出成功の矢先に、ライバルであるフィアット社から日本ではルパンの愛車としても知られる「フィアット500(Nuova)」が発売されることとなった。

このフィアット500、デザインはもちろん、性能面なども優れていたこともあり、一躍人気車種となり、結果、VESPA400はコンパクトカー市場で完全に敗退し、1961年、約6年という期間で製造中止に追い込まれることとなった。6年間での製造台数は約200万台とも言われている。

所有するのはかなり難しいと思われる

かくして、ピアジオ社はコンパクトカー市場から撤退し、今に至るまで4輪を作ったのは、このVESPA400のみとなっている。時代の生んだ徒花的な存在となってしまったことは間違いないが、それ故にVESPA400の存在が愛おしく感じるVESPAファンは記者だけではないだろう。

モノコックボディ、空冷2気筒2ストロークエンジンと、VESPAの特徴を全て持った4輪、VESPA400。国内にはトヨタ博物館を含めて数台が存在するという。

走っているシーンを拝む機会はかなり少ないとは思うが、最低限、VESPAファンならば、この車両のことを覚えておいてほしいものである。

センカクダイバー

センカクダイバー

悲運の元パチンコ・パチスロライター。ベスパ歴27年、ミニクーパー歴2年のモッズ系猛禽類。旧車を好むクセに機械イジりや整備はサッパリというご都合主義者。