ワーゲンビートルとヒトラーの意外な関係

最近でこそ、見る機会は減って来たものの、丸くて愛らしいスタイリングが世界中で愛された「フォルクスワーゲン・タイプ1ビートル」。

生産されている間、その特徴的なシルエットを頑に変えなかったことも相まって、クラシカルな雰囲気となっているが、それもそのハズ、このタイプ1が作られたのは驚くなかれ、何と戦前のことである。なおかつ、ヒトラーとも深い関わりがあった。

そんな、知っているようで、実はあまり知られていないフォルクスワーゲン・タイプ1ビートルについて語ってみよう。

ワーゲンはヒトラーの計画からスタートした?

1933年、時のドイツの為政者だったアドルフ・ヒトラーから依頼を受けたフェルディナント・ポルシェ博士が開発した小型大衆車こそがフォルクスワーゲン・タイプ1ビートルである。プロトタイプである「KdF-Wagen(歓喜力行団の車)」が完成したのは1938年であり、この段階でほぼ皆が思い浮かべるビートルの姿は出来上がっていた。その後、若干の改良が加えられたものの、第二次世界大戦勃発に伴い、KdFビートルは僅か630台が作られたのみで、そのほとんどがキューベルワーゲン(KdFビートルのシャーシを利用したジープ型の軍用車)に取って変わられることとなった。

フォルクスワーゲンはイギリス軍の管理下から始まった

1945年、ドイツ敗戦に伴い、KdF工場はイギリス軍が運営することとなり、KdFの名称がフォルクスワーゲンと改められ、それに伴い、KdFビートルもフォルクスワーゲン・タイプ1に車名を変更することとなった。賠償物件としてではあるが、イギリス占領軍政府から2万台のビートルが発注されることとなる。なお、この時代のビートルの外観上の特徴はリアウインドウが中央で隔てられたスプリットウインドウとなっている点である。

フォルクスワーゲンが西ドイツの国営会社となる

1949年、フォルクスワーゲン工場は連合軍から正式に西ドイツに返還されることとなった。タイプ1は、その耐久性と経済性、優れたアフターサービスなどで世界の市場から絶大な支持を得ることとなる。53年になるとそれまでのスプリットウインドウからオーバルウインド(楕円形のリアウインドウ)に変更されたものの、基本的なデザイン、空冷リアエンジン方式など、ビートルの特徴は変わることなく、生産台数をさらに伸ばしていくこととなる。また、1950年に発表された、タイプ1の設計をベースとしたワンボックス車「タイプ2」も、貨客搭載力と乗り心地を両立させた汎用車として人気を博すこととなる。

「フォルクスワーゲン法」まで制定される特殊な企業

1960年、フォルクスワーゲン社が民営化されることとなるが、この際、「フォルクスワーゲン法」という特別な法律が制定され、投資家はどんなに株を買っても議決権の20%までしか保有できないなど、やはり特殊な企業という扱いがされるようになる。なお、この時点でも主力商品はタイプ1で、オーバルウインドウからスクエアウインドウ(四角いリアウインドウ)に変更され、スリットが増えるなどのマイナーチェンジが成された。

1979年、ドイツでの生産が終了となる

ビートルは世界的な大ヒット車となり、大成功を納めはしたものの、その反面、後継モデル開発の妨げともなった。「フォルクスワーゲン=ビートル」というイメージの強さを打ち崩すことができず、空冷リアエンジン方式が時代遅れとなったにも関わらず、対応が取れず、フォルクスワーゲンは徐々に低迷期を迎えることとなる。これは後にハッチバック車であるゴルフが登場するまで続くこととなる。ゴルフ登場により、ようやくビートルを代替できるモデルを得たフォルクスワーゲン社は、1979年、ついにタイプ1のドイツ国内での生産を終了することとなる。

メキシコではタイプ1の生産を続行

ドイツ国内では生産終了となったものの、メキシコ工場ではタイプ1の生産は続けられることとなる。1981年には累計2000万台を突破するなど、まだまだタイプ1の需要は尽きなかったが、2003年、ついにメキシコ工場でもタイプ1は生産終了されることとなる。この時点までに生産された台数は2,152万台以上に上り、モデルチェンジなしでの1車種としては未曾有の記録となっている。

専門店ではまだまだ購入も可能だ!

実にプロトタイプが作成されてから80年近く経ったにも関わらず、未だに元気に走っている姿を見られることができるフォルクスワーゲン・タイプ1ビートル。さすがに前期型のスプリットウインドウやオーバルウインドウなどは高価だが、比較的、年式の新しいスクエアウインドウなら、それなりの値段で購入することも可能だ。キャブ車が怖いという方にはインジェクションモデルも存在する。シンプルな作りも幸いし、手入れにも、それほど手間がかからないとか。

いかがだっただろうか。

ヒトラーの正の遺産とも言うべきフォルクスワーゲン・タイプ1ビートル。オススメしたい一台だ。

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画像 – Flickr : lamazone

センカクダイバー

センカクダイバー

悲運の元パチンコ・パチスロライター。ベスパ歴27年、ミニクーパー歴2年のモッズ系猛禽類。旧車を好むクセに機械イジりや整備はサッパリというご都合主義者。