バイク旅で野宿のススメ【眠れぬ夜もあるのだ編】

野宿と聞くと空き地にシートだけを引いて寝そうなイメージがあるかもしれないが、テントも張るしバーナーで飯も作るし、普通のキャンプと変わらない。場所がキャンプ場ではなくそこらの空き地なだけである。

だがまれに、屋根と床のある好条件な最高物件に当たることもある。例えば著者の経験した最高条件な野宿物件では、岡山の海沿いにあった、海の家の名残というものがあった。

調度良いキャンプ場も見当たらず

季節は秋だ。暑くもなく寒くもない。

四国から岡山にフェリーで渡り下道をのんびり走っていると、調度良い場所にキャンプ場も見つからずに、辺りは真っ暗に。そんな時に小さなスーパーを見つけて、焼くだけの味付きの肉やビールは手に入れた。そうなれば早く飲みたくなるのが当然。幸い海沿いが近いので海岸に出ればテント張る場所などいくらでもあるだろうと海に向かう。

砂浜の海岸沿いを走っていると、なんと板張りの床と屋根が残された海の家があるではないか。しかもその裏までは舗装された道が繋がっていて、バイクもすぐ横に置ける。これならテントもいらないぞ。即決でその物件に決めたのは言うまでもない。

寝袋だけ広げ、肉を焼きつつビールを飲んで潮騒の優しい音にその日の疲れが癒され、周りも暗く静かで、ぐっすりと眠れると思っていたし、実際にぐっすりと眠りについていたのだ。

爆音がやってきて大騒ぎに

寝たのは確か夜の10時くらいだったと思う。ひとり旅は基本早寝早起きなので10時はそこそこ遅めだ。

ぐっすりと眠っていると、バイクやクルマの爆音が近づいてくる。バイク3台にクルマが1台。どれも直管の爆音仕様。地元のやんちゃな少年少女たちのオデマシだ。

それでも海につけばエンジンは止めるし、大声で騒ぐ程度なら眠れるだろうと、寝袋に包まるっていると、なんとあろうことか季節外れの花火大会が始まり、ロケット花火の「ヒューン」という耳障りな音が絶え間なく続く。

このままでは眠れない。30分程我慢しただろうか。寝不足は旅の天敵だ。注意力も落ちて事故の危険性も増すし、良いことはない。だが盛り上がっているやんちゃな少年少女に「花火やめてもらえるかな」というのも勇気がいる。揉め事など寝不足よりも避けたい。…だが眠れない。

仕方なく起きだし…

「ごめん。そこで寝てるんだけど、花火で眠れなくてさ」

すると驚いたのはやんちゃな少年少女たちの方だった。著者が寝ていることにまったく気付いていなかったようだ。

すると「あそこで寝てるんですか」と興味津々な様子で、旅の途中で野宿していることを説明すると「すげー」とか「カッコいい」とかともてはやされて、少年少女は「うるさくしてすみませんでした」と素直に爆音車で帰ってくれた。

こんなこともあるんだな、なんて思いながら残っていた日本酒を少し飲んで寝袋に戻ったが、目が冴えてしまい眠りに戻れず。それでも朝5時までウトウトして、海の姿がぼんやりと見えるような明るさの中撤収して走り出した。

それが魅力かどうかは体験した者が決めればいいが、野宿にはそんなこともある。次回は眠れぬ夜パート2を。

オオモリシゲユキ

オオモリシゲユキ

バイク・アウトドアが大好きな放浪ライターと書くと格好良いがただのオヤジライター。加齢臭気にしつつ今日もバイクで走ります。得意分野は外見に似合わず文章