これは攻撃力高い!世界で一番物騒なベスパを知りたいか!?

ベスパに乗っていると言うと大概の人は「オシャレだね!」と返してくれることが多い。実際、映画『ローマの休日』など銀幕の中で活躍するベスパは実にオシャレな外観をしている。しかし、そんなオシャレなベスパが、軍用車両として作られていたことはあまり知られていない。それも連絡用車両や偵察用車両といった生温い仕様ではない。対戦車用として開発された、筋金入りの軍用車両である。今回は、そんな世にも物騒なベスパを紹介したい。

軍用ベスパはフランス軍が採用した

この物騒な対戦車用のベスパを採用したのはフランス軍だ。空挺部隊(パラシュート降下部隊)用の対戦車兵器としてACMA社が製造した。原型になっているベスパは「VESPA125と」いう、通称”スワンネック”と呼ばれるタイプで、1952年に作られたモデルである。ローマの休日で使われた”フェンダーライト”の後継車種と思えばいいだろう。

限られた予算内で作られた

第二次世界大戦後、フランスは海外植民地での独立運動などの火種を抱えており、緊急展開する空挺部隊に高い火力を持たせる必要に駆られていた。とはいえ、東側諸国との戦争用ではないため、あまり予算が出なかった。

その限られた予算で開発されたのが、対戦車用ベスパ、正式名称「Vespa150 A.C.M.A. T.A.P」である。

一台あたりのコストは500ドル

Vespa150 A.C.M.A. T.A.Pはフランス軍の空挺部隊用として、アルジェリアとインドシナに配置されることとなり、約800台が生産された。1台あたりのコストは500ドルとのことである。安価な資金で火力と機動力を備えた兵器として、それなりに有用だったのではないだろうか?

スクーターに無反動砲を搭載した

Vespa150 A.C.M.A. T.A.Pに搭載された武装は「75mm無反動砲」と呼ばれるもので、主に対戦車兵器として配備された大砲だ。従来の火砲のような反動が無いため、衝撃吸収機構を必要とせず、砲腔圧力の低さから砲身の肉厚を薄くでき、重量が軽減されたことも搭載された要因の一つだろう。

なお、弾丸は自動装填されないので「走行しながら発射」といった機能はない。あくまで75mm無反動砲を移動させることができる兵器なのであって、戦車のような戦い方は不可能である。

無反動砲運搬用スクーター?

写真でも見てもわかるように、75mm無反動砲はレッグシールドを突き抜けてスクーターのシート下に搭載。運転手は無反動砲をまたぐ形で運転する。無反動砲はハンドル軸を避けるように前方左斜めに向けて搭載されているので、走行中の発射は不可能だ。砲弾は”シートレール兼砲架と車体後部にグルリと廻されたバンパーを繋ぐように渡し、そこに左右各3発づつ、単品でコンテナに納められた砲弾をタイダウンベルトで固定して携行するようになっている。

パラシュート降下で戦場に赴くベスパ

Vespa150 A.C.M.A. T.A.Pは空挺隊に配備された兵器だけあり、戦場に赴く場合はパラシュートで降下させられる。”パラシュート5傘装着の投下用パレットで操縦者2名・車両2台+弾薬を1単位 で放り出すのが基本だったようだ。そして降下後、無反動砲をスクーターから取り外し、三脚に無反動砲を載せて発射する。まさに無反動砲運搬用スクーターなのである。

実戦に投入されたかは不明である

結局、Vespa150 A.C.M.A. T.A.Pが実戦に投入されたのかどうかは不明だが、その後、スクーター兵器が作られたという話も聞かないことから投入されなかったのではないだろうか? この軍用ベスパが欲しいという方が居たとしても、かなり難しいとは思うが、記者が知っている限りでは何年か前に一度、無反動砲をハズした状態のVespa150 A.C.M.A. T.A.Pが某オークションに出品され、かなりの高額で落札されていたことを記憶している。

運が良ければ手に入れることも不可能ではないようだ。根気よく探すのもマニアの第一歩である。

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画像 – Flickr : Contando Estrelas

センカクダイバー

センカクダイバー

悲運の元パチンコ・パチスロライター。ベスパ歴27年、ミニクーパー歴2年のモッズ系猛禽類。旧車を好むクセに機械イジりや整備はサッパリというご都合主義者。