フレームをはじめ、カウルやホイールにカーボン製パーツを採用、BMWモトラッド自身が「自社の市販車史上で最高性能・最高品質」と自賛した「HP4 RACE」。昨秋に発表された際には大いに話題となりました。
そんな「HP4 RACE」の詳細が明らかにされましたので、今回発表された最新情報をご紹介しましょう!
BMW「HP4 RACE」
コチラが今回詳細が発表された「HP4 RACE」。前回はフェアリング類を含めた外装は全てカーボンが映えるブラックでしたが、今回はBMWカラーにペイントされています。
そして今回新たに、限定750台のレーシングバイクとして特別チームの手で組み上げ、市販されることが発表されました。
(もはや、その性能を比較できる一般ライダーは居ないに違いないのですが……)同社では、
現行のSBKファクトリーレーサーと同等以上の性能に仕上げている。車重はフルタンク状態で171kg。これはSBKファクトリーレーサより軽く、Moto GPのファクトリーより少し重い。
と表現しています。ちなみに乾燥重量は146kgです!
リリースでも、軽量化に関する記述が大半を占めていることから、やはりフレームをはじめとしたカーボン製パーツの多様が注目ポイントであることが分かります。
BMW「HP4 RACE」の詳細
とは言え、エンジンも普通じゃありません!(リリースには明記されていませんが)同社のスーパースポーツ・モデル「S1000RR」の水冷4気筒DOHC998ccエンジンをチューン。ボア×ストロークは同じ80×49.7mmですが、圧縮比を13.7-13.9:1に高めつつ高回転化。
最高出力は遂に200hpを越え、158kW(215hp)@13,900rpmにまで引き上げられています。
やはり本車両のハイライトは、このカーボン製のモノコックフレーム。その重量はナント7.8kgです! リアフレームは別体ですが、そちらもカーボン製です。
そこまでやっているのですから、前後ホイールも、やっぱりカーボン製。これだけで30%の軽量化を果たすのだそうです。
そして、本車両のもう一つのハイライトは、最高品質の機能パーツにあります。
例えば、フロントフォークは”Öhlins”製倒立フォークの最高峰「FGR300」を奢ります。フロントブレーキは”Brembo”の最高峰モデル「GP4 PR」モノブロックキャリパーに320mm T-typeレーシングスチールディスク(厚さは6.75mm)を合わせています。
フロントフェンダーがカーボン製であることなど、どうでも良い感じです……
リアショックにも”Öhlins”製品の最高峰モデル「TTX 36 GP」が採用されています。
先のフロントフェンダーのほか、このタンクカバーと……
フェアリング類が全てカーボン製とされています。
ステーやカバー類も全てがカーボン製。軽量化を突き詰めた、ということが良く分かります。
特徴的な形状のスイングアームはアルミ製。アルミ製シートメタルを加工して製作される、SBKレーサーと同製法が採られています。
ちなみにガソリンタンク本体はアルミ製ですが、ホンダはチタン製ガソリンタンクを投入していますから、パーツ単体ではどちらが軽いのか、など興味が湧くところです。
“Akrapovic”製サイレンサーが装着されていたのは前回と同じですが、やはりフルチタンだということが公式に発表されております。
バッテリーも小型軽量化にこだわった結果、リチウムイオン・バッテリーを採用しています。
ここまでやっているレーシングバイクですから当然のことですが、電子制御関連も万全です。
215hpに175kgの車体……とんでもないパフォーマンスを有した「HP4 RACE」。今のところ公式にはお値段は発表されていませんが、海外の有力情報誌によると、1,000万円程度ではないかと言われているそうです。
性能的にも価格的にも、私たち一般ライダーには縁のない世界に属する車両ではありますが、今後もウォッチして行きたいと思います。
BMW「HP4 RACE」のスペック
- 全長×全幅×全高:2,070×777×1,193mm
- ホイールベース:1,440mm
- シート高:831(Low:816,High:846)mm
- 車両重量:196〈195〉kg
- エンジン種類 / 弁方式:水冷4ストローク直列4気筒 / DOHC4バルブ
- 総排気量:999cc
- 内径×行程:80.0×49.7mm
- 圧縮比:13.7-13.9:1
- 最高出力:158kW(215hp)@13,900rpm
- 最大トルク:120Nm@10,000rpm