ビートルズは元ロッカーズ!? 実は知らないモッズの雑学

「MODS(モッズ)」という名前をご存知だろうか? 80年代に流行ったバンド「THE MODS」のことではない。

モッズコートの「モッズ」と言ったほうがわかりやすいだろう。「モッズ」とは”モダーンズ”の略称であり、1950年代後半から60年代にかけてイギリスので流行した、音楽やファッションをベースとしたライフスタイルやムーブメントのことである。現代日本ではそのモッズコートという単語のみ一人歩きして語られているが、そのスタイルは根強く現代にも引き継がれている。ここではそんな「モッズ」に焦点を当てて語っていきたい。

サイドベンツで細身の三つボタンのスーツが基本形

まず、モッズのファッションから説明していこう。サイドベンツで細身の三つボタンのスーツに、ボタンダウンのシャツを組み合わせ、細みのネクタイを身に着けるか、フレッド・ペリーのポロシャツを着用していた。髪を下ろし、グリースなどを一切つけないドライ風orポークパイハット。スーツの上にはミリタリーパーカー(M-51)を羽織といったスタイルこそが、モッズの基本形となる。ちなみにこのモッズの人々に愛用されたミリタリーコートこそ「モッズコート」の由来となっている。

移動手段にはスクーターを用いた

彼らの多くはクラブに集まって過ごしたが、クラブへの移動手段にはスクーターを用いるようになった。エンジンがむき出しのモーターサイクルではスーツが汚れてしまうというのが最大の理由だ。また、ミリタリーパーカー(M-51)を羽織るスタイルが定着したのも、スーツが汚れることを嫌ったからだという。

ちなみにスクーターには”ランブレッタ”や”ベスパ”といった車種が好まれ、ライトやミラーでデコレートするというカスタムが定着していった。また、ジャガーのエンブレムやヒョウ柄のシートなどを装着することも好まれた。

彼らの多くは”ワーキング・クラス”であり、高級車などとは縁遠い存在だった。それゆえの憧れが、このようなカスタムに繋がったようだ。

好まれた音楽は黒人音楽だ

モッズは音楽とも密接な関係がある。アメリカのR&Bやソウル・ミュージック、スカなどを好み、イギリス国内ではザ・フー、スモール・フェイセス、キンクス、スペンサー・ディヴィス・グループなどを好んだ。

また、ビートルズは、デビューをする前は革ジャンにジーンズといった、いわゆる”ロッカーズ”ファッションに身を包んでいたが、マネージャーであるブライアン・エプスタイン氏の指示により、モッズファッションでデビューすることとなったという。

ブライトンの暴動

1964年5月18日、ブライトン海岸においてモッズは対立していたロッカーズと乱闘事件を起こし、最終的には暴動にまで発展した有名な事件。お互いのスタイルの違いから起きた抗争という異例な事件(通称:スタイル・ウォー)で、後に映画「さらば青春の光 (Quadrophenia)」で再現されることとなる。

その後、モッズは流行の主流になり、逆にロッカーズは廃れていくが、そのモッズも70年代に”ネオモッズムーブメント”などで、いったん返り咲くものの、雲散霧消して今にいたる。

モッズだった著名人

全英で話題となったムーブメントだけに、モッズにハマった著名人も少なくない。代表的なのはデヴィッド・ボウイ、マーク・ボラン、ロッド・スチュアート、オジーオズボーンなどが挙げられる。

また、日本ではラジオDJとして知られるピーター・バラカンは、モッズムーブメントに参加するには若過ぎ、彼がランブレッタを購入した頃にはモッズは存在しなかったが、モッズには憧れを持っていたという。

逆にモッズムーブメントの代表的バンドだったザ・フーのメンバーたちはいずれも「モッズではなかった」と後にインタビューに答えているから皮肉なものである。

何故かスタイルはお笑い芸人に受け継がれている?

かくして、現在、日本においてはごくごくマイノリティな存在として認識されるに留まっているモッズだが、どうした訳か若手のお笑い芸人などがサイドベンツで細身の三つボタンのスーツに身を包み、舞台に立っている姿をよく見かける。

かつて、日本においてモッズのスタイルをしたければ、まず、新宿・原宿にあった「SWITCH」というお店で吊るしのモッズスーツを購入するか、世田谷区にある「洋服の並木」という仕立て屋さんでオーダーメードのモッズスーツを作るのが定番だった。

「SWITCH」はすでになくなって久しいが、「洋服の並木」は未だに健在(現在は2代目店主)で、ミッシェル・ガン・エレファント、ボウディーズなどとバンドのステージ衣装はもちろん、U字工事やガーマルチョバなどお笑い芸人の衣装も数多く手がけている。

この記事を読んでモッズスタイルに興味を持った方は、まず、若手などが出るようなお笑い番組を見てみるといいかもしれない。そして、そのスタイルがカッコいいと感じたならば、「洋服の並木」でモッズスーツをオーダーメイドしてみるのも一興だろう。

画像 – Flickr : David Zellaby

センカクダイバー

センカクダイバー

悲運の元パチンコ・パチスロライター。ベスパ歴27年、ミニクーパー歴2年のモッズ系猛禽類。旧車を好むクセに機械イジりや整備はサッパリというご都合主義者。