バイクブームは再来するのか!? レンタルバイクユーザーの分析から見えてきた若年ライダーの心理

国内におけるオートバイユーザーの減少や若者のバイク離れ、オートバイユーザーの高齢化が唱えられて久しく、2月21日には「国内での二輪新車の購入者平均年齢は51歳」という記事も掲載された。

これは、2013年のデータを基にした日本自動車工業会の調べによるもので、「80年代のバイクブーム世代が今なおバイクを楽しんでおり、現在のバイクシーンをけん引している。更には、若年層がバイクに興味がなくなっているのも原因の一つだ。」と報告されている。

一方ヤマハ発動機では、グローバル展開をしている250ccスポーツバイク「YZF-R25」が2014年11月の国内販売開始後、わずか一ヶ月で年間7,000台の販売計画に対して、その半数以上の3,800台の注文が入った。しかも購入者の平均年齢は30代前半で、その約45%が29歳以下と、20代・30代のライダーに好評を受けている。

現在、1,000ccを超える大型バイクは軒並み100万円を超え、輸入車となると200万円を超えるバイクも少なくなく、80~90年代に比べバイクの販売価格は高騰している。そのようなバイクを購入できる年代となると、新車購入者の平均年齢が51歳ということはうなずける。

では、このような高額なバイクを購入できる中高年層や、”リターンライダー”と呼ばれる人達しかバイクを楽しんでいないのか。若年層はマイノリティなのか。それとも20代・30代にもバイクが好まれているのか。日本自動車工業会とヤマハ発動機の相反する発表を、レンタルバイク事業を展開する「レンタル819」の顧客データから独自に紐解いた。

レンタルバイクユーザーの約6割が30代以下

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「レンタル819」は、レンタルバイク利用者データをもとに、2015年1月から7月までの利用者の属性を独自調査したところ大変興味深いデータとなった。

まず、レンタルバイクの利用者の平均年齢は37歳という結果だった。利用年代別では20代が32%、30代が27%と全体の半数を超えている。また、50代以上の割合は全体のわずか13%しかいないという結果に。

これはあくまでも「レンタル819」のユーザーデータだが、決して「バイクファンの高齢化が進んでいるわけではない」ということが見てとれる。

買えないからレンタルしているのか?

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前出の通りあくまでも「レンタル819」の利用者データが前提だが、決して「新車価格が高過ぎて、手が届かないからバイクに乗らない・買わない」という理由にはならない。

「レンタル819」運営本部が一都三県1,120人のユーザーに対して行った「レンタルバイクを利用する理由」に関するアンケートでは、「いろいろなオートバイに乗ってみたい」が35%と最も多い回答となった。次いで「気になるオートバイがあったので」が27%、「購入しなくても手軽にかりられるので」が21%と続いた。

経済的に購入できないという理由はほとんどなく、様々なシーンでTPOに併せてバイクを楽しんでいることが推察できる。

1位に入った「いろいろなオートバイに乗ってみたい」という理由は、レンタルを活用する利用者ならではの回答かもしれないが、業界的にも大変興味深く貴重なユーザーズボイスともいえる。

レンタルバイクがバイク購入のきっかけになっているのか?

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「レンタル819」では一般利用の他に、利用料金をリーズナブルに設定した年間会員サービス「マイガレ倶楽部」を用意している。これは毎月1回以上レンタルしてバイクを楽しむリピーターから好評のサービスとなっており、日帰りツーリングやロングツーリングなどの目的によってバイクを変えて楽しみ、異なるジャンルの乗り味を楽しむことができる。

しかし、契約条件である1年が満期になると共に退会する割合も多く、退会理由のアンケートを実施したところ、「以前ほど頻繁に乗る時間が無くなった」や「転居のため入会した店舗に通えなくなった」という回答が並んだ。しかし、一番多い理由は「バイクを購入したから」で、「レンタルバイクユーザーの減少=バイク離れ」ではないことがわかった。一通りのバイクに乗った上で「もう乗りたいバイクが無くなったから」という回答が大半を占めると予想していたが、意外な結果には驚かされた。

「レンタルで気軽に乗っていたが興味がなくなりバイクをやめた」というわけではなく、「レンタルで気軽に始めたバイクが大好きになり、自分で所有したくなって購入している」ようだ。

また、レンタル時に車種の選定理由を聞いたところ、「購入予定」というものがあがった。これは「欲しいと思っているバイクを事前にレンタルでじっくり試してみたい」という心理が見て取れる。レンタルバイクは、バイク購入のための試乗としても活用されているようだ。

調査結果を踏まえた考察

日本自動車工業会が発表した「国内での二輪新車の購入者平均年齢は51歳」というデータはあくまでも新車であり、中古車はカウントされていない。新車購入となると高額なため、当然ながら経済的に余裕のある年齢層が厚くならざるを得ないが、二輪業界という大きなくくりで中古車を含めると平均年齢はもっと下がる計算になる。新車の購入数だけで考察すると「若者のバイク離れ」が起こっているかのように見えるが、実際には若年層もオートバイを楽しんでいるのだ。

レンタル819を利用するユーザーの車両選定理由から、新車購入の年齢層と20代・30代はバイクの楽しみ方が異なっていることも垣間見ることができる。自分でバイクを所有して自分好みにカスタムを楽しみ、仲間とツーリングに出掛けるというような比較的中高年齢のバイク愛好家に対し、レンタルと割り切り、もっとライトな感覚でバイクを楽しむ20代・30代が多く存在していると言える。

さらに、気軽に乗り始めたオートバイではあるが、その楽しさにハマり結果的に購入して楽しむ「レンタルから購入へ」という流れも確実にあることがわかった。

「新車購入者の平均年齢が51歳の二輪業界は先が暗い」と悲観する必要はないということだ。また販売ターゲットをその年代に絞るのではなく、二輪業界に携わる全ての協会・団体は、20代・30代など若年層に対する「バイクに乗りたい気持ち」をより強くアピールすることで、二輪業界活性化につながるのではないだろうか。

今回アンケートを実施した「レンタル819」では、10代に向けてバイクの楽しさや安全運転を説いていくことが必要だと考えいる。

「免許を取らせない」「バイクを買わせない」「バイクを運転させない」という、1970年代後半から日本各地で盛んに実施されていた『三ない運動』は、既にマナーアップ運動へと変更されている。今後は、交通安全や二輪免許取得者を増やすことを主軸とした教育を施し、バイクの楽しさやイメージの向上、また震災などの非常時にはその機動力から人命救助やインフラ復旧に役立つことを教えていくことが二輪業界活性化に結び付く一環となると考えている。

業界全体でこのような取り組みを行うことにより、バイクブームの再来はあるのか。いや、ブームには終焉があるので、じわりじわりとライダーが増加してくれるのが一番であろう。本サイトとしても、微力ながらオートバイライフの楽しさを見出すきっかけとなっていけたら幸いだ。

参考 – @PRESS

上中達也

上中達也

BMX、MX、スケボー、サーフィンなど横ノリ全般をこよなく愛する。クルマやバイクの新車情報や、オモシロ動画を逐一チェックする癖アリ。