ちょっと寂しい世界モトクロス選手権と、アメリカお約束の熱狂的ファン

今年は本当に久しぶりに、アメリカで世界モトクロス選手権が開催された。ただし最終戦というラウンドで、すでに450ccクラスは年間チャンピオンが決まっていたこともあって、アメリカ国内のチャンピオンシップ戦ほど盛り上がらなかった。

ただ、中には長年アメリカで開催される世界選手権を心待ちにしていたファンも多かっただろう。

久々にアメリカで開催された世界モトクロス選手権

このモトクロス世界選手権シリーズ、正式には「FIM World Motocross Championship」という名称でFIM(国際モーターサイクル連盟)の管轄でおこなわれる世界最高峰のモトクロスレースである。

ヨーロッパを中心に中東、アジア、南アメリカ、北米とまわるのだが、やはりヨーロッパラウンドが一番人気で、毎回3万人以上の観客が集まり、各国のライダーの応援団も国旗を掲げてエアーホーンや発煙筒まで持ち出して大変な騒ぎとなる。一番おとなしい開催国はアジアと思いきや実は中東で、観客数も5,000人ほどでマシンの排気音だけがレース場に響きわたる不思議な光景となる。

今回のアメリカラウンドは会場が南カリフォルニアということもあり、多くの観客がやってくるのではと期待されたが、残念ながら約1万5,000人ほどしか来場しなかった。要因は先に述べたことと、自国アメリカのトップ選手があまり出場しなかったことにありそうだ。国内のプロライダーのシリーズ戦では、3万人以上の観客が詰めかけるほど大人気なのだが。

ちょっと寂しいモトクロス世界選手権と、アメリカお約束の熱狂的ファン

それでも国際レースということで、多くのファンが熱い応援を送っていた。

ちなみにこの世界選手権だがシリーズを通して出場しているアメリカ人ライダーはMX2と言われる250ccクラスに一人いるだけで、あとはほとんどがヨーロッパの選手。そのアメリカ人選手もアメリカでのプロ成績はほとんどない。実はアメリカのモトクロスは世界最高水準で、アマチュアでもプロクラスでも世界で最も速いと言われている。

また、アメリカはモータースポーツが盛んで、クルマにしろオートバイにしろ、自国が世界一と多くのアメリカ人が思っている。そして、イベントとしてのモータースポーツが確立しているため、TV放映や多くのスポンサーが大会についている。当然支払われる賞金やメーカー(スポンサー)との契約金も、他国に比較するとケタ違いに高い。そんな世界なのでトッププロの速さは本当にすごい。

だから、アメリカでトッププロにまで登りつめると、世界(つまりヨーロッパ)に行かなくても、十分に地位と富みと名誉を手にすることができる。このことはヨーロッパを含め全世界のプロライダーも知っていて、おそらくこのアメリカラウンドは、彼らにとって”一番張り切った”ものか、”やりづらかった”かのどちらかだっただろう。

一方熱心なファンにとっては、専門誌でしか見られないヨーロッパのライダーや、この大会だけ契約メーカーからの依頼で出場した、アメリカのプロを身近で見れるとあって大興奮。ただ、先にも述べた通りアメリカ人のトッププロは数人しか出場しなかったが。結果は250ccクラスも450ccクラスもアメリカ 勢の圧勝。唯一フランス人で450ccクラスの世界チャンピオンだけはその面目を保った。

ちょっと寂しいレースだったが、唯一国際大会を感じさせてくれたのは、サッカー ワールドカップなどで見られる、お約束の”愛国心いっぱい”のファンがちゃんと存在してたことだろうか。

ちょっと寂しいモトクロス世界選手権と、アメリカお約束の熱狂的ファン

ちょっと寂しいモトクロス世界選手権と、アメリカお約束の熱狂的ファン

松並学

松並学

広く、浅く、何にでも興味を持ってしまう老人一歩手前の九州人。カップルのことをアベックと言いそうになることを一番注意している今日この頃。