バイクフリークならずとも、世界的な知名度を誇っているハーレーダビッドソン。近年はエントリーモデルの「ストリート750」やクルーザーの未来を指し示すかのような電動バイク「ライブワイヤー」をデビューさせるなど、伝統の一歩先を目指した取り組みを展開しています。
そんな中でハーレーが次なる市場として目をつけたのがeバイク(電動アシスト付自転車)。ペダル付きのハーレーってどんなものなんでしょう。
世界的に急成長を見せる電動自転車市場
とはいえハーレー本体が製造と販売を担うわけではなく、そのための新会社がハーレーの製品開発センター内プロジェクトから設立された形です。その名も「Serial 1 Cycle Company」。この名称は、ハーレー最古のバイクの愛称「Serial Number One」に由来しています。
新型コロナウイルスのパンデミックをきっかけに、電動自転車業界は急成長中。Serial 1のプレスリリースによれば、世界の電動アシスト自転車市場は2019年に150億ドル(約1兆5600億円)を超えたと見積もられ、2020年から2025年にかけては年率6%以上の成長をするという予測がなされているほどです。
そうした中での電動アシスト自転車事業への参入。ユーザーにどのように受け入れられるか目が離せません。
タフなフレームが目を引くeバイク
そんな「Serial 1」が打ち出したファーストモデルがこちら。残念なことに、まだスペックや機能は明らかにされていません。目につくところでわかるのはビーチクルーザーを思わせる太めのブロックタイヤに、電動アシストとしてはスリムなフレーム形状。どことなくアメリカンな雰囲気が保たれていてカッコいいですね。
前後のホイールにはディスクブレーキを組み合わせ。このあたりはさすがバイクメーカー発祥といったところでしょうか。ウェーブディスク形状やシルバーのアクセントがまたたまりません。
後輪への動力伝達にはチェーンではなくベルトドライブを採用。ここにもハーレーらしさがみて取れます。自転車では採用モデルが少ないですが、注油が不要だったり、走行時の静粛性が高まったりとかなりメリットは多いんです。
モーターはボトムブラケット部分に搭載したミッドドライブ方式。ヤマハやシマノ、BOSCHなどのユニットに採用されている、eバイクでは主流のタイプで、ペダルの踏み込みに応じてダイレクトな反応を得られることが特長です。見た目だけじゃなく乗り心地もよさそう。
伝統を守りつつ新たなイメージを作り出していけるか
こうした新しい取り組みの背景には、近年世界的な販売数減に悩まされているハーレーのお家事情もありそうです。根強いファンを抱えてはいるものの主要な顧客層の高齢化が進み、バイクをどんどん降りていってしまっているのです。
そこで2020年7月にハーレーは、「The Rewire」という社内ブランド再編計画を実施。その一環として、グローバル事業から700人従業員削減を実施するまでに至っています。
Serial 1のブランドディレクターであるAaron Frank氏は次のように語っています。
「Serial 1の設立によって、ハーレーダビッドソンは現在のモビリティ革命において重要な役割を果たすことでしょう。その中でSerial 1は電動アシスト自転車の顧客のみに集中し、自由と冒険に根ざした比類のないライド体験を提供することができるのです」
二輪という枠組みの中でさらに存在感を強めていこうとしているハーレーダビッドソン。新たなファン獲得の一手となるでしょうか。