今なお世界中のマニアに愛されている「イセッタ」は、イタリアのイソ社が製造していた、現代で言うところのパーソナルモビリティビークル。1962年の製造中止までに、20万台以上が販売されました。
今回ご紹介するのは、明確に「イセッタ」の現代版を目指してスイスで開発が進められている電気自動車「Microlino」です。
Microlinoは現代版イセッタ!
左がオリジナルの「イセッタ」で右が「Microlino」。「Microlino」は“現代版イセッタ”を目指しているだけあり、車体のサイズ感から2トーンに塗り分けられたカラーリングまで、オリジナルにそっくりです。
この小さな車体に大人2名が(横並びで)乗車でき、街中での安価なコミューターとして企画されている……というコンセプトも「イセッタ」と同じです。
大きく違うのは、現代版である「Microlino」が電気自動車ということ。15kWのモーターを搭載、最高速度は 100km/h、航続距離は100~120kmを想定しています。
Microlinoの開発
開発が始まったのは2015年のこと。このようなラフスケッチから……、
イメージが徐々に具体化されて……、
プロトタイプを製作しました。写真からおわかりいただけるように、ボディはスチールやアルミではなく樹脂製です。
そして2016年初にはプロトタイプが完成! ところが……、
輸送中にコンテナが落下! プロトタイプが破損してしまうというアクシデントが発生したそうです。
それでも何とか修復して、2016年3月からは展示会でのプロモーションを開始しました!
写真は今年のミラノショーでの様子。
Microlinoの仕組み
「Microlino」は前開きのドアを1枚のみ装備。ドライバーと同乗者は横並びに座ります。
ボディは樹脂製。衝突安全性など基準をクリアできるのか心配なのですが、どうやらヨーロッパでは「Microlino」は自動車には分類されないため、その必要がないのだそう。
まずは利便性とか経済性を優先ということなのでしょう。自動車と考えると心配ですが、”屋根つきバイク”と思えば不思議と問題無い気がしてきます。
その樹脂製ボディを支えるフレームは、ご覧の通りボックススチール製です(写真は現在製作中のセカンド・プロトタイプ)。
標準でサンルーフ仕様となっており、小さな車体に遊び心も搭載しています!
セカンド・プロトが開発中!
スペックが公表されておらず、まだまだ謎の多い「Microlino」ですが、この7月よりセカンド・プロトタイプの製作が開始されています。
その作業は、イタリアの有力電気自動車メーカー、タッツァーリと行なっているそうです。これは期待が高まります!
2017年内にファーストロットが販売される!
この魅力的なミニカー「Microlino」。現地ヨーロッパでは車両本体価格8,000~1万2,000ユーロ(約98万〜146万円)での販売予約が開始されており、2017年内を予定しているファーストロットの500台分は埋まっています。そして2018年には量産化される予定とのことです。
「Microlino」の製造元は、三輪キックスクーター「Micro Scooter」で有名なスイスのMicro Mobility Systems社。世界80カ国に輸出する優良企業であり、本プロジェクトは社長のWim Ouboter氏が直々に進めているようですので、「Microlino」が公道を走る日が来るのではないかと思います。
いやはや、来年の今頃が本当に楽しみです!