アストンマーチン「DBR1」というクルマをご存知でしょうか。1959年のル・マン24時間レースにおいて、強豪フェラーリを抑え、1-2フィニッシュを飾った歴史的なレーシングカーのことです。今回は、その貴重なアストンマーチン「DBR1」がサザビーのオークションに出品されたというので紹介したいと思います。
アストンマーチン「DBR1」
アストンマーチン「DBR1」は通算5台のみが製作され、その内、4台はアストンマーチン・ファクトリーチームが使用し、残りの1台がプライベーターに売却された、純然たるレーシングカーになります。5台の「DBR1」には、それぞれDBR1/1、DBR1/2、DBR1/3、DBR1/4、DBR1/5という正式名称がつけられていました。
1956年のルマン24時間レースにデビューを果たし、翌年にはエンジンのアップグレードを敢行。ニュルブルクリンク24時間レースでは、トニー・ブルックス/ノエル・カニンガム–レイド組が駆るDBR1/2が見事、優勝を飾っています。
怒濤の優勝ラッシュ
1957年の優勝をかわぎりに、翌1958年にはスターリング・モス/ジャック・ブラバム組がルマン24時間レースにて優勝。さらに1959年にはスターリング・モス/ジャック・ファーハム組がルマン24時間レースで2年連続優勝を達成。キャロル・シェルビー/ロイ・サルヴァドーリ組のDBR1/2とモーリス・トランティニャン/ポール・フレール組のが1-2フィニッシュを記録しています。
こんな名のあるレーサーたちが、栄光を掴んだマシン、それこそがアストンマーチン「DBR1」なのです。
DBR1/1がオークションに出展
その後、アストンマーチンはF1に転向したこともあり、全5台の「DBR1」は売却され、1963年までに第一線から退きました。
そしてその内の4台は現存しています。中でも最も価値のあると言われているDBR1/1がサザビーズのオークションに出展されました。
現存する4台の「DBR1」の中でも、最も貴重で価値が高いと言われるDBR1/1がオークションに出展されるというニュースを聞き、世界中のアストンマーチンファンは騒然となっています。
サザビーズの予想する落札価格は2,000万ドル以上とされています。
DBR1主要諸元
シャーシ:マルチ・チューブラー、スペースフレーム・デザイン
サスペンション:トーションバー&トレーリングアーム
全長:4,026mm
全幅:1,630mm
全高:978mm
ホイールベース:2,290mm
車両重量:801kg
エンジン:アストンマーチン製直列6気筒、2,493cc / 2,922cc、FRレイアウト
トランスミッション:デイビッド・ブラウン設計、CG537 5速マニュアル
全てをなげうっても手に入れたい
キャロル・シェルビー、スターリング・モスといった超一流レーサーとともに、ヒストリックレース会に燦然と輝いたアストンマーチンの名車「DBR1」。こんな凄いマシンがオークションに出品されることなんてあるんですね。
確かに2,000万ドルは尋常な金額ではないですが、全てをなげうってでも手に入れたいクルマがあってもいいのかなぁ……と思ってしまいました。素晴らしいマシンだと思います。