兵器に使われた技術が、いかに現代のクルマに使われているか?
その8つの例を紹介しているのが、アメリカのテクノロジー系サイト「SUPERCOMPRESSOR」の記事。なるほど!と知り合いをうならせられそうな、雑学ネタとして紹介しよう。
その1:ABSはイギリス空軍の戦闘機用だった
ABS(アンチロックブレーキシステム)は、1940年代後半から1950年代に開発された技術だ。
元々は、第2次世界大戦後に到来したジェット戦闘機が主流の時代に、イギリス空軍の戦闘機用として作られたもの。ハイスピードなジェット機の着陸では、滑走路でもかなり速度が出ていて、パイロットがブレーキを制御するのが困難。そのため、安全に制動する装置として開発されたのだ。
作ったのは、タイヤメーカーで有名なダンロップで、「Maxaret」という名称で呼ばれていた。クルマには、1960年代中盤にイギリスの自動車メーカー、ジェセンモータースが作った「ジェセン・FF」へ初めて搭載された。
その2:カーボンファイバー製シートはイギリス防衛省が広めた
そもそも、カーボーンファイバー自体を最初に使ったのは、トーマス・エジソン。彼が初めて作ったライトバルブ内のフィラメントに使用したのだ。
が、その後はさほど使われるものではなかった。
現在のように多用されるようになったきっかけは、1960年代初頭にイギリス防衛省が、カーボンファイバーからシートを生成する技術を考え出してから。軽くて丈夫なことから、今では、クルマの内外装パーツなど、至るところで使われるようになったのだ。
その3:潜水艦で使われたソナーもクルマへ
第1次世界大戦後に、潜水艦が音を利用した海中のナビゲーションや距離測定に使っていたのがソナー。
今では、クルマが駐車する際に、障害物などにぶつからないかを検知するセンサーとして使われている。
その4:ヘッドアップディスプレイは戦闘機用だった
フロントウインドウ付近に搭載し、速度やナビゲーションなど様々な情報を映し出すヘッドアップディスプレイ。
この技術が登場したのは、1950年代後半。元々は、戦闘機のパイロットが標的を狙う際に、コクピットの計器を見るために下方へ視線を落とした時に、標的をもう一度狙い直さなくても済むように開発された。
クルマに採用されるまでは、かなり時間がかかったが、ドライバーがメーター類やナビなどに視線を移すことなく、安全に前方を見て情報を得ることができるという意味では、同じような目的で使われているとも言えるだろう。
その5:レーザーも攻撃兵器として考えられた
1960年代に開発されたのがレーザー。CDを読み込むために使われたり、1980年代のアメリカ・レーガン政権では、宇宙からレーザービームで敵国を攻撃するスターウォーズ計画を考えていたりもした。
クルマ用には、最近レーザーヘッドライトが開発された。また、レーザーセンサーは、近い将来採用されそうな自動運転化に一役買いそうだ。
その6:ナイトビジョンはベトナム戦争で発達
暗い場所でも物体が見えるナイトビジョンは、第2次世界大戦中に考え出され、ベトナム戦争でさらに洗練された技術だ。
第1次湾岸戦争時に、夜間の砲撃映像などでよく見られるようになったが、その後、キャデラックが一般車にも採用したりしている。
その7:レーダーは第2次世界大戦中の技術
レーダーを使って敵の戦闘機などを検知する技術は、第2次世界大戦中に開発されたもの。
今では、それがクルマのクルーズコントロールへも採用。前方の物体との距離などを検知、衝突しそうな場合は減速するシステムに使われている。
その8:4×4は第2次大戦で軍用ジープに採用
悪路の走破性を格段に高めてくれる4×4(4輪駆動)。元々は、第2次世界大戦中にジープが米軍の軍用車のために開発したものだ。
今では、様々なクルマに採用されているこの技術も、採用したのは軍用車が最初なのだ。
戦争の技術が、安全や快適な装備へ転用される。これぞ、平和利用の典型だと言えるだろう。