熱狂的なファンを集め続けるイタリアの自動車メーカー アルファロメオ。2020年で迎える創業110周年を記念して、同社の長い歴史を4分にまとめた動画が公開されました。
美しいクルマづくりとモータースポーツに力を注いできたアルファロメオというメーカーの歴史がよくわかる、完成度の高い動画です。一度見るだけでもかなりアルファ愛を語れそうな濃イイ内容です。
1910年にアルファが誕生
アルファロメオのはじまりは1910年。ラグジュアリースポーツカーの製造を行うメーカーとしてイタリアのミラノに誕生しました。設立当時はアルファというメーカー名で、現在の社名にあたるアルファロメオとなったのは第一次世界大戦中後の1920年のこと。1915年にオーナーとなったニコラ・ロメオが自分の名前を社名に加えたことによります。
記念すべき最初の量産車の名前は24HP。HPと聞くとヤードポンド法を用いた馬力をあらわす記号として馴染み深いですが、24HPの馬力は42HP。なんだか噛み合いませんね。
それもそのはずで、実はこのHPは当時のイタリアで使われていたtax “H”orse”P”owerと呼ばれる自動車の税額を決定するために用いられていた方法に由来しているんです。
完成した24HPを武器に、創業の1年後にはレースに参加。「レースこそが販促活動と技術向上に最適な場である」という判断からでした。
第二次世界大戦前後のアルファロメオ
1920年代もレース活動を引き続き行いグランプリレースへ参加。1925年にはGP TIPO P2と呼ばれるマシンで優勝を果たすほどの成果を上げます。
1930年代から第二次世界大戦にかけては時代の流れからか、軍用機器の開発に携わるようになり、自動車の他に航空機のエンジンも製造するようになりました。BMWしかりカワサキしかり、自動車メーカーと飛行機の関係は、切っても切れないものですね。そしてなによりも1933年に世界恐慌や政治的圧力などの影響もあって、事実上の国営企業となりました。
第二次世界大戦が終わった後はレース活動を再開。新規定のもとで開催されたF1で2度チャンピオンシップを優勝しています。
1950年代には当時を代表する高性能中型自動車として歴史に名を刻んだ1900や、1900をきっかけに販売拡大を狙った小型車として発売されたジュリエッタやジュリエッタスパイダーが登場。世界中へアルファロメオの自動車が輸出・販売されました。
ニュージェネレーションと言われた1960年代とF1に復帰した1970年代
1960年代はメーカー自らがニュージェネレーション(新世代)と語る時代です。ジュリアやドゥエット、そしてGTAといったツーリングカークラスのモータースポーツシーンで活躍したマシンが登場しました。
1960年代のアルファロメオのスポーツカーと言えばこちらの写真に写っている33ストラダーレ。世の中に様々なスーパーカーが存在している中、レトロかつ美しいボディラインを持つ33ストラダーレは万人を魅了するクルマという表現がふさわしい1台です。

1981年シーズンにアルファロメオで過ごしたF1ドライバー マリオ・アンドレッティ氏
1970年代にはF1参戦チームへのエンジン供給を行い、1979年から1985年にかけては自社開発マシンによるグランプリ復帰も果たしました。F1に参戦していると聞くだけでも箔が付きますね。
フィアット傘下となった1986年から現代
1986年にアルファロメオはフィアットによって買収されその傘下に入り、現在に至ります。その後、1997年にはヨーロッパカーオブザイヤーを受賞したことでも知られるセダンの156、そして2003年には2シータークーペの8C、そして2013年にはミッドシップスポーツカーの4Cなど魅力的なクルマを数多く生み出しました。
2018年には「アルファロメオザウパーF1チーム」としてF1に復帰。そして今年2020年にはアルファロメオ誕生110年を記念するモデルとして500台限定のジュリア GTAが発表されました。
アイコンともなった盾型グリル
ちょっと余談ですが、アルファロメオといえば目を引く「盾型グリル」が特徴的ですよね。ボディ一体型のフェンダーデザインとなったことがきっかけで、最初に採用された車両ははるか昔、1936年発売の8c2900。当時としては高いスペックを誇るスポーツカーでした。
その後、盾型グリルは大きさや、角度、丸みなど、その形状を時代とともに変えながら、今なおすべてのラインアップに受け継がれ、アルファロメオをアイコニックな存在へと昇華させています。
ラグジュアリーとスポーツこそアルファロメオの象徴
第一次世界大戦前から存在している自動車メーカーであるゆえか、軍用機器を製造していたり、国営企業に管理されていたかと思えば、フィアットグループの仲間入りをしたりと、波乱万丈の歴史を辿ってきたアルファロメオ。
しかし人を魅了するラグジュアリー性やスポーツ性を兼ね備えたクルマを生み出すことに力を注いできたことは、これまでに販売されたモデルを見れば明らかです。10年後に発売されるであろう120周年記念モデルが待ち遠しいですね。