ランドローバー社の原点ともいえるモデルで、英国を象徴するクルマとされた「ディフェンダー」が2016年1月29日に、最後の1台の生産を終了した。
68年間生産が続けられた無骨なSUV
「ディフェンダー」は1948年、農作業向けに初代モデルの生産が始まって以来、68年間生産が続けられていた。生産台数は累計200万台強が販売された。
原点となった”シリーズ I”は独創的なクルマだったが、それには生産されたのが戦後という背景がある。例えばアルミ製ボディの採用は、鋼鉄が深刻な材料不足に陥っていたことから採用されたもので、耐腐性や軽量化を意図したものではなかったという。
また、当時はトラクターと旧式な農業用トラックの中間のような農業用車両で、様々な作業に適し、街まで足を延ばせるクルマという位置づけだった。
高級ホテルの玄関で目にするようなステータス・シンボルになるクルマでは決してなかったのだ。
今後はコレクターズアイテムとして人気再燃
1957年にロンドンのハイドパークでエリザベス女王が車上から手を振る写真が残っているほか、元ビートルズのポール・マッカートニーなどの著名人らが所有したことでも知られている。現在でも「ディフェンダー」のファンは世界的にも少なくない。
その大半が手作業で組み立てられ、納期までの時間もかかった「ディフェンダー」。今後はコレクターズアイテムとして人気が再燃し、値段が上がること必至な1台である。
なお、これにて歴史に幕を閉じるかのように見えたディフェンダーだが、現在、新型が開発中とされている。「ディフェンダー」の名に恥じぬ、ファンの期待を裏切らないモデルチェンジに期待したいところだ。
Writer:
K.Y