VWタイプIIって不思議なクルマですよね。ドイツをはじめとするヨーロッパでは実用車、特に商用車として愛されていたのですが、アメリカでは趣味の対象であったり、ある人々のライフスタイルの象徴でもあったのです。
このように現場作業で使われることもあれば……
その広大な荷台スペースを活用して、商用車として活用されていたのです。コチラは1963年式をベースに特別に製造されたボックスタイプの荷台を持つ車両です。
コチラは1961年にVWがアメリカで出稿した広告。
今では、出荷された状態=オリジナリティを重視する人達も居れば、カスタマイズを楽しむ人もいます。また忘れてはならないのが、60~70年代にはサーファーやヒッピーに愛されたクルマである、という事実。今回ご紹介する”ライトバス”は、ヒッピー文化の象徴的な1台を再現しているのであります。
ライトバスはRobert Richard Hieronimus氏の芸術作品!
さて、コチラが今回ご紹介する”ライトバス”。音楽方面に詳しい方ならご存知のことと思いますが、1969年の”Woodstock Art and Music Fair”に登場してセンセーションを巻き起こした伝説の1台なのです。それがこの度、VW Americaの手によりフルレストアされたのです。
そもそも”ライトバス”って何よ、という方のために簡単にご紹介しておきますと……アメリカ芸術家であるRobert Richard Hieronimus氏(以下、ボブ)が、ウッドストックのためにペイントを施したVWタイプ2のこと。
ボブが何者か、という話をし始めると長くなりそうなので省略しますが、”ライトバス”の特徴は、このサイケデリックなペイント。それこそが命なのです。
それでですね、筆者はボブの作品を一言でサイケデリックと表現してしまいました。サイケデリックな世界というのは、当時のヒッピー文化の重要な一部を担っていたのではありますが、ボブに言わせると
「ライトバスで用いた手法をサイケデリックと表現して欲しくないな。一般的なサイケデリックなアートは、似たパターンやシンボルの羅列でしかないが、ワシのライトバスは違う。見る者が、自身の中に神様の光が見えてくる導きとなるよう、入念に考えてある。そしてその光が、われわれを一つに導いてくれるのじゃ……」
とのこと。実にスピリチュアルな世界なのであります。
今回はギャラリー作っておきますので、ペイントを心行くまでご堪能くださいませ!
権利の関係で当時のライトバスの画像は載せることができないのですが、オリジナルに忠実に再現されているのですよ。
こんなバスを復活させてしまうアメリカ人のVW愛の深さに感銘を受けた筆者なのです。
Volkswagen