例えば今、この文章を終電かそれに近い夜遅い時間帯の電車の中で見ているあなただ。
仕事帰りで疲れ果て、もう6時間後には起きて出社。昨日の睡眠時間も4時間程で疲れは溜まる一方だ。
ぐっすりと自然に目が覚めるまで寝ていたい。日がな自分の好きなことをして、陽が落ちればビールでも飲んで、そんな暮らしをしてみたい。
けれど仕事だ。好きな事では食っていけない。若い頃のように「あれをして、これを切り詰めればもっと自由に」なんて夢見がちなことを考えることもなくなった。
こうして必死で仕事して、出世を重ねれば少しは楽になれるのかとも思ったが、責任が重なり、収入は増えるかもしれないが、仕事は増々大変になる。
現実と言うモノにとっくに気が付いてしまい、日々何かに振り落とされないように必死でしがみついて、しがみついていたものがただの惰性だと知ってしまった。
「なんて情けない顔をしているんだ」
夜を背景にした電車の窓に映る自分にそう思った。多かれ少なかれ、人が生きようとするのならそんな思いを誰もがしている。
終電車の中で、朝の通勤途中で、あるいは成功者と呼ばれるものがタワーマンションで夜景をみながら。
「俺の人生はこれでいいのか」そう考えている。
上手くいかない日々の連続で、その中で起こる喜怒哀楽に一喜一憂して、そうやってこれから先も生きて行く。それが現代を生きる人間の、もはやトラディショナルといってもいいくらいの積み重ねた生き方だ。
何をすれば変えられるのか。
夢はどこに捨てたのか、もう一度それをリセットしたら。違う一歩が踏み出せるのでは。
全てを否定する必要などない。都会を捨てて、仕事を捨てて、自由人になる自由は誰にでもある。けれど、作戦はひとつひとつ、具体的に目標設定をしていかなければならない。疲れているあなたにどこかの啓蒙本みたいな説教をするつもりはない。
作戦を立てる前に、疲れはててしまった自分の心を、少しだけ癒してみませんか。
例えば、家の中でテレビもパソコンもつけずに、ランタンの灯りだけで好きなグラスで好きな酒を飲んでみる。最近行けていない旅の本を読んでみる。
ランタンはLEDではなく、絶対的にホワイトガソリン燃料のモノにしたい。キャンプでも活躍するが、家の中で疲れ果ててしまった夜に、久しぶりにマントルを付け替えて灯してみる。
少しだけウキウキするだけかもしれないし、もしかしたら、何かが浮かぶかもしれないし、そんな時間が持てることが嬉しくなるかもしれない。
疲れ果てちまったひとたちに、ランタンの夜を。
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