1月11日
松山を出発。倉敷に渡りそのご九州組は西に向かえば家路だし、関東組は東に向かえば良いだけだ。なんとなく、だらだらと続く旅は終着点をどこに置くかが問題になるように思う。これがひとり旅なら、帰りたくなったタイミングで帰れば良い。
ひとり旅では特に予定もない時に「どこに向かうか」で悩み、何となく家の方向に向かいそのまま帰宅してしまうという流れが多い。例えば東北を旅していて、山形辺りで日本海側に出て、そのまま秋田方向に向かう旅の最初はいいのだが、その後岩手に入り、宮城まで下ってくる。
この先はどこに行こうか。日にちの余裕はまだまだあるのだが、ひとりの自由さも孤独も十分に楽しんだ。
本来なら新潟でも目指し、そのまま日本海側を南下し富山、岐阜あたりを回って関東に戻ることも出来るのだが、東北道を南下していざ新潟方面に行くジャンクションを見ると「まあいいか」なんて思いながら、そのまま関東に戻ってしまう事が多い。
予定を決めていないということはそういうことだ。
「日本一周」などの目的を決めていれば、走るほどに満足感はましていくのかもしれない。だが無計画な旅はいくら出発前は「気のすむまで走り回る」と考えていても、充実感が過ぎたあとは惰性であり、疲れを積み重ねているだけなのかもしれない。
それでも旅をしたい。
今回の冬の旅はひとりではない。そして全員が割と自由な時間を作り出して参加している。ならばまだ走ろうじゃないか。ひとりでは出来そうにない充実感を通り越した先に踏み込んでみる。
尾道ラーメンを食べ、伊勢に住む仲間の所に行き、伊勢神宮参りでもしようか。その頃から数日後には雪という天気予報が出ているが、ともかく伊勢に向かうことになった。
尾道から下道で倉敷を目指す。どこにでもある平日の国道は仕事中の車で混んでいる。そんな中を荷物を満載にしたバイクが走り抜ける。明らかに異質な者と化して進む。こんどは冬のひとり旅を徹底的にしてみようかと思う。
旅の途中にその旅に疲れつつも、また新たな旅を求めているのだから救いようがない。けれどそれは冬の旅の目的のひとつである、自分の生き方に対する指針みたいなものに対する答えでもある。つまりは救いようのない自分に満足しているので。
倉敷に行く前に児島によってジーンズストリートを散策し、倉敷の美観地区を満喫した。
1月12日から
倉敷を出て大阪でハーレー乗りのやっているハンバーガーショップ「ザ・パンヘッズヘヴンサルーン」でハンバーガーを堪能して、大阪の街のなかではぐれながら伊勢まで走る。天気予報は増々危うげだが、それはそれでもういいだろう。
経済的にも、自由な時間的にもぎりぎりまで旅を続けてみるそんなことが生涯の中で何度出来るだろうか。出来る時にやっておきたい。帰りは1月14日。天気予報通りの雪の中を震えながら走り、九州組は広島でトラブルと雪で道を閉ざされ旅は長引いてしまったが、それも旅のひとつだ。
ほとんどが寒さを我慢するという試練みたいなものだが、それでもバイクで走りたい。難しいことを書いてきたが、実はそんな単純なところに帰結する。
また今年も走ってやろう。
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