恐ろしいほどの静寂。立ち込める冷気。荘厳なたたずまいで圧倒する自然。そんなフィールドで、唯一、頼りとなるのが火の存在だ。小さな炎であっても、人は大きな安らぎを手に入れられる。小さなジッポライターに引かれるのは、人間本来の本能といえるだろう。
キャンパーが自身の炎を手に入れることは、フィールドでの精神的なステップアップにもつながる。では、バイクキャンパーにとって最適な炎は何か? 筆者が使ってきたアウトドアバーナーで振り返ってみた。
バーナー燃料の種類
バーナーの燃料は大きく分けて、ガソリンなどの液体燃料、ガスなどの気体燃料、欧州軍などで使われる固形燃料、枯れ枝などを燃やす自然燃料がある。
入手のしやすさから考えると、枝などを拾って火をおこす、焚き火やネイチャーストーブがいいように感じる。
しかし、バイカーにとって自然燃料の確保は大変。現地に着いてから、周辺を歩き回って、枯れ枝、木の実を探せるだけのバイタリティがあればいいのだが…。
そこで筆者が注目したのは、バイク燃料と同じ無鉛ガソリンを使用するアウトドア用バーナー。無鉛ガソリン利用を前提としているのではなく、緊急時に燃料を共有できることがポイントだ。
コールマンのアンレデットシリーズ
初めて手に入れた無鉛ガソリンのアウトドア用バーナーはコールマンの「アンレデット」シリーズ。
現在は「デュアルフューエル」という表記になっているが、長年、シルバーのタンクが目印となっている。
ポンピングでタンクに空気を送り込み、圧力で燃料を噴射。ガソリンはジェネレーターを通り、気体になってバーナーヘッドへ送り込まれる。しかし、アンレデッドシリーズは”緊急時”の無鉛ガソリンが使用可能なだけで、日常使用は避けなければいけない。
案の定、無鉛ガソリンを使い続けたら、すぐにジェネレーターがつまり、炎が上がらなくなってしまった。
オプティマスのスベア123R
次に出合ったのオプティマスの「スベア123R」。
タンクボディに「PETROL」と書いてあったので、何も考えずに無鉛ガソリンを使用した。燃料コックを回転させると、内部に仕込まれたクリーニングニードルが、燃料を噴射させるジェットニップルの穴を掃除してくれる。これなら、コールマンアンレデットシリーズのジェネレーターのように詰まることもないだろうと安心できる作り。点火にはプレヒートと呼ばれる、いわるゆ暖機運転が必要で、熱でタンクの圧力を上げ、燃料を噴射させる。
無骨な作りで、壊れることはないだろうと思っていたが、ミスでタンクの圧力を上げてしまい、燃料タンクを膨張させてしまった。
MSRのウィスパーライトインターナショナル
そして、最後にたどり着いたのがMSRの「ウィスパーライトインターナショナル」。インターナショナルは灯油が使えることを意味する。燃料ボトルとバーナーヘッドが分かれているので、バーナー用の燃料タンクを別に用意しなくていい。バーナー部のコンパクトなジェネレーターは単純な構造で詰まることもない。
こちらの点火方法はポンピングとプレヒートの両方が必要だが、ポンピングばかりを気にすることもなく、プレヒートもやりやすい構造だ。
バイクのタンクから燃料を移すときも、ボトルが別体なので、作業しやすい。
20年を経た現在、筆者の手元ではMSRウィスパーライトインターナショナルのみ使用できる状態になっている。メンテナンス、修理をすれば、他のバーナーもしっかりと使えるはずだが、結局はこの一台がベストだったのではと感じる。
コンビニエンスストアが充実してきた近年では、フィールドで使うバーナーにも変化が現れ、無鉛ガソリンを使うことはなくなった。しかし、バイクキャンパーにとってベストなバーナーは無鉛ガソリンタイプだと、筆者は今でも信じている。
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