クルマやバイクといった陸の乗り物と同様に、実は海の乗り物もどんどん電動化の波が押し寄せています。ここ5年ほどでヨットや水上バイクなどの小型船舶を中心に広がりをみせており、推進システムをはじめ、次世代の船舶設計を行う企業やベンチャーが続々と現れています。
イタリアの船舶デザインメーカー「Icona」もそのうちのひとつ。彼らがこのほど公開したコンセプトモデル「Icona Fibonacci」は、幾何学的なデザインが美しい電動ヨットとなっています。
超高性能な電動ヨット「Icona Fibonacci」
まるでSF映画の小道具といっても違和感のないデザインのIcona Fibonacciは、どこか洗練された雰囲気もあって、優雅にクルージングを楽しむセレブ層をターゲットにしているヨットのよう。
340kWhという大容量バッテリーを積んでいるので、航続距離もかなりのものです。海上を約10ノット(時速18.5 km)のスピードで巡航したとすると、なんと240kmも船旅が楽しめるほど。鹿児島県のフェリーターミナルから沖縄本島まで行って返ってきてもお釣りがくるくらいなので、なんとも心強い。
ただ、まだコンセプトということもあり、理想として出しているフシがあるスペックも。例えば、これほど大容量バッテリーを積んでいながら、充電時間はたったの20分!と発表されています。身近なEVといえる日産リーフのベースモデルが40kw/hで40分とされているのを考えると、Fibonacciは単純に計算すれば8.5倍の340分。将来的な技術革新を視野に入れているのかもしれません。
カタラマンヨットとも呼ばれる双胴船
ところで、Fibonacciの左右に張り出した胴体と、その間に挟まれたデッキという姿をどこかで見たことはないでしょうか。実はこれ、デザインが奇抜なのでそうとは思えないかも知れないのですが、双胴船と呼ばれる割とベーシックな形式のヨットなんです。カタラマンヨットなんて呼ばれたりもします。
2つの”浮き”となる船体をつないだ形状なので、デッキ部分を広くとれるメリットがあり、コンパクトながらスピードと快適性を両立できるメリットがあります。優雅なクルージングはもちろん、高速巡航が可能なことから世界一周の相棒としても使われるヨットです。
「Icona Fibonacci」の美しい非対称デザイン
通常のカタマランヨットを振り返ったところでFibonacciを見直してみると、その独自性がより際立ちます。左右非対称のデザインは有機的な貝殻のようですし、ルーフトップはまるでグランドピアノのような開閉式になっています。
コンセプト段階ということを考慮しても、なんとも先進的な見た目にはワクワクさせられます。ウッドデッキと趣味の良いインテリも相まって、海上にいるにも関わらず、格式高いパーティ会場にいる気分にさせてくれそうなほどのセレブ感もたまりません。
まとめ:海の未来を引っ張りそうなほどのインパクト
スペックを含め、まだまだ夢のまた夢といえそうなIcona Fibonacciですが、そのデザインからくるインパクトはさながらヨット界のテスラのよう。実現すれば、海の未来を引っ張っていきそうなほどのポテンシャルを秘めています。