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少年とバイクの幻想譚。映画「Away」は今冬必見!

近年では、すっかりエンターテイメントの世界ではバイクの露出が減ってしまいました。そんな中で、バイクが物語の重要な部分を占める映画が登場したとなれば、当メディアで紹介しないわけにはいきません。

 

新人クリエイターが、たったひとりで紡ぎ出した世界

本作「Away」は81分に渡る長編アニメ映画です。製作者は「ギンツ・ジルバロディス」さん。日本では、バルト三国の一国といったほうが通りのよいかもしれない東欧の小国ラトビアで生まれ育ち、8歳からアニメーション製作をはじめたといいます。

そんな彼の初作品となるこの映画は、25歳のころから一日たりとも休むことなく3年半という期間を経て制作されました。しかも、彼たった一人の手によるものというから驚かされます。

 

世界中の映画祭で9冠達成!

その評価はすでに折り紙つきで、世界最大かつ最高の権威を誇るアヌシー国際映画祭において、「コントルシャン賞」(※)での初代グランプリをはじめ、世界中の映画祭で9冠を達成(※2020年11月現在)しているほど。2020年のアカデミー賞アニメーション部門の最終候補にもノミネートされています。

(※)コントルシャン賞:アヌシー国際映画祭において、実験性・革新性のある長編アニメーションを対象として、2019年に新設された賞

 

全編セリフなし。それぞれが暗示するもの

オフィシャルに紹介されているストーリーは次のとおり。

「飛行機事故で、たった一人生きのびた。少年は森で地図を見つけ、オートバイで島を駆け抜ける。黒い影から逃れて、小鳥とともに。」

 

独特の造形と色彩を備えた、4部にわたる81分の長編でありながら、劇中にいっさいのセリフはありません

そのため実体なのか幻影なのかも定かでなく、何のために存在して追ってくるのか不明な「黒い影」をはじめ、登場する数多の動物たちであったり、バイクであったりが、何らかのメタファーであるのかと考え始めるとキリがなく、答えも出てきません。

 

育った環境や文化と言葉の違った人同士が、全く同じ立ち位置から鑑賞することでどう感じて解釈するのか。歴史に翻弄されたラトビアという国の経緯も併せて考えると、非常に興味深いところです。

 

バイクに絞って考察してみると…

ところで、バイク好きなら車体にも注目してしまいますよね。劇中に登場するバイクは、シリンダーの太さからいえば125ccシングルあたり、ヘッド形状からすると4サイクルDOHC、スクランブラータイプの左二本出しアップマフラー、前後ドラムブレーキ……に見えます。

 

すでにスカチューンも施されたトラッカーカスタム車ではありますが、古いCBシリーズを思い浮かべてみたり、ひととおり東欧の名車をググってはみましたが、ピッタリあてはまるものは見つからず、モデルとなった実在のバイクの存在は確認できませんでした。

 

ただ、そうやって食い入るようにバイクを観察していると、3Dモデリングの鏡像を使ってしまったのか、ときおりマフラーとチェーンの取り回しが右になってるところも……。そうした部分を見つけるのもまた、ひとつの楽しみ方かもしれません。

 

映画「Away」公開情報

2020年12月11日(金)より、新宿武蔵野館ほか全国で順次公開されています。

主要なところでは

  • 【近畿】テアトル梅田/出町座2021年1月22日(金)
  • 【中部】名古屋シネマテーク2020年12月26日(土)

等々。その他地区日程は公式サイトから参照できます。

 

コロナ過により引き続き外出の自粛は求められているところではありますが、基本的に上映中に動き回ったり喋ったりすることのない映画館での感染リスクは比較的低い部類といえます。

ステイホームの気晴らしに出かけたい場合の選択肢にしてみてはいかがかな。

映画『Away』

公式サイト

Kenn

モノと生き物の境目が曖昧なちょっとイタい人。 バイク・クルマに限らず、作り手の情熱・魂の込もったモノに惹かれます。 DOS時代から名乗っているハンドルなので、某声優のほうが後発デスヨ