大型ツアラーバイクのイメージの強いBMWですが、実はスクーターもかなりラインアップが充実しています。しかも、BMWならではの魅力が詰まっていて、乗ったバイカーはもれなく虜になるんだとか。
これは乗ってみるしかねぇ!と、一路ディーラーへ。エントリーモデルの「C400X」を借りて、街に繰り出してみました。筆者にとってはこれまで試したことのない、まさに”ニュータイプ”のモデルです。見せてもらおうか、BMWのスクーターの実力とやらを!
必要十分なパワーのビッグスクーター
2000年代、日本はヤマハのマジェスティを中心とした「ビックスクーターブーム」に湧きましたが、今ではどちらかといえば下火の傾向にあります。しかし、BMWの本国ドイツを含む欧州においては別。今でもとても人気のあるカテゴリーです。
C400Xは名前こそ「400」ですが、実際は349ccの単気筒エンジンを搭載しています。こう聞くと日本では中途半端な排気量に思われがちですが、最高出力34psと国産モデルの400ccビッグスクーター以上のパワーを発揮。スクーターとは思えない出足の早さと加速で、街乗りからツーリングまで幅広い用途で活躍するマシンです。
スポーツバイク並みのブレーキ性能と各種ユーティリティが魅力
パワーをしっかりと制御するブレーキ性能も、スポーツバイク顔負け。フロントブレーキは、なんとダブルディスクにブレンボの中排気量向けブランド「BYBRE」のキャリパーを装備しており、リアもディスクブレーキで非常に強力な制動力を生み出します。
もちろんBMWのバイクは全てABSが標準装備なので、安心してブレーキをかけられますし、タイヤの空転を防ぐ「ACS:トラクションコントロール」も実装されています。
スクーターの魅力の一つといえばシート下の収納スペースですが、そちらも抜かりありません。停車時にロックを外すとメインスペースの深さが増して、フルフェイスヘルメットだってラクラク収納できます。
さらにフロントの左右には開閉式の小物入れが確保されており、スマートキーやグローブの収納に重宝します。
試乗中に日が落ちてきましたが、ヘッドライトとテールライトはどちらもLEDで明るく、防風効果の高いスクリーンとグリップヒーターのお陰で、10月でも寒さを感じることがありませんでした。これからの季節にはうれしい装備ばかりです。
また、スマートフォンと車体の液晶ディスプレイを接続できる「BMWコネクティビティ」に対応しており、運転中の通話や音楽の再生、ナビゲーションなどをディスプレイ上で操作・管理できるようになっているのもポイントです。
足つきはちょっと悪いかも
ただし、ちょっと日本人には辛い部分も。シートは肉厚でとても快適な座り心地ですがその反面、足つきは若干犠牲になっている印象でした。シート高は約78cm程度なので、通常のバイクであれば身長173cmの筆者でも両足がベタつきしていい数値です。ところが実際は、両足の前方半分がなんとか設置するくらいでした。
もっともスクーターとしてはかなり低重心な設計になっているので、両足爪先立ち以上であれば問題はないと思われますが、車重は205kgもあるので片足ツンツンだとちょっと辛いかもしれません。
極めてマイルドな走りと安心のブレーキ
車重こそありますが、それでも同クラスのビッグスクーター以上のパワーを発揮するだけあり、走りはかなりパワフルです!試乗コースには結構な傾斜の坂道がありましたが、アクセルを開けると難なく登ってくれましたし、スピードの伸びもストレスを感じないほどでした。
だからといって決してピーキーなわけではなく、アクセルを大きく開けても極めてマイルドに加速してくれる優等生です。また、ブレーキの効きが非常に良く、日常域であればどんな入力でもピタッと安定して止まってくれます。
そうした特性もあって、街乗りでは常に周りの交通状況に目配りできる余裕がありますし、ワインディングでは攻めた走りが楽しめます。
BMWのスクーター恐るべし!
今回C400Xに試乗してみた感想は「スクーターでもしっかりBMWだった」とにかくこれに尽きます!スクーターだからといって決して妥協しない走行性能、高い安全性とツーリングを見越した各種ユーティリティ、どれをとっても一級品でした。BMWのスクーターは化物か!?
お値段は税込み87万1,000円〜と決して安くはありませんが、ひとたび乗ればそれ以上の価値を感じるはずです。