”バイク界のシーラカンス”とも呼ばれているのが、ロイヤルエンフィールドのブリット500。実に70年近くもの間、基礎設計をそのままに生産が続いているのがそのゆえんです。もちろん時代とともにインジェクション化やフロントブレーキのディスク化など、年々近代化を遂げていますが、パッと見の印象はクラシカルなまま。一度跨がればタイムスリップした気分を味わえそうなほどの雰囲気をまとっています。
そんな当時の姿を留めるバイクをなんとイギリスのElectric Classic Carsが電動化。クルマではちらほらと見られるようになった電動コンバージョンの手法をバイクに落とし込んだ形です。
ビンテージバイク好きの目を引くデザイン
こちらがブリットベースの電動バイク「Photon」です。本来エンジンが収まる場所にある黒いユニットの中に2.5kWhのリチウムイオンバッテリーとコントローラーが内蔵されていて、そこからリアホイールハブに内蔵された水冷モーターへ電力を供給しています。
おかげでブリット本来のスタイルは崩れておらず、クラシカルなイメージはそのまま。前後ホイールを大きく覆っているフェンダーや二本立ちのセンタースタンドなどは、当時のバイクの設計思想を想起させます。
ちなみにモーターの最高出力は15.8馬力と150cc程度ですが、最大トルクは300N・m超え。現行の1,000ccスーパースポーツですら110N・m程度ということを考えると、尋常ではない加速感を感じることができそうです。
航続距離は1回の充電で130km
スペックもかなり実用的です。1回の充電による航続距離は最大130km(時速85km巡航の場合)で、最高時速は112km/h。通勤・通学や気分転換でフラッと出かけるくらいなら十分。国内の高速道路でも問題なく交通の流れに乗れそうです。
ビンテージデザインと電動化の組み合わせは絶妙
現行車にはない古い設計やデザインがゆえの独特な雰囲気こそがビンテージバイクの一番の魅力です。その筆頭ともいえるブリット500に電動コンバージョンを施した、Photonはまさにレトロと近未来感の折衷に成功した好事例です。
電動化はメーカーにとっても無視できない流れといえます。その中でクラシカルなイメージを大切にするロイヤルエンフィールドがどういう戦略を打ち出していくのか、ひとりのビンテージバイクファンとして非常に楽しみです。