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あの劣化しない究極のエンジンシリンダー加工が全国の内燃機屋さんでも施工可になるってマジ!?

あの劣化しない究極のエンジンシリンダー加工が全国の内燃機屋さんでも施工可になるってマジ!?

旧車乗りにとって、井上ボーリングは救世主ともいえる様々なアイデアを世に出してきました。旧車の鋳鉄シリンダーをメッキアルミシリンダーに変え、半永久的な使用を可能にする「ICBM(R)」、摩耗を極限まで抑えた非接触式センターシール「LABYRI」……。ここにきて更に新たな取り組みが始まります。それが新たなるエンジン用スリーブ「エバースリーブ」です。

 

王道の加工としてのICBM

あの劣化しない究極のエンジンシリンダー加工が全国の内燃機屋さんでも施工可になるってマジ!?

とはいえ、井上ボーリングにはすでに定評のあるメッキアルミシリンダーICBMがあります。ではエバースリーブはさらなる高性能化を図る試みかというとそうではなく、より広い活用を見越しているといいます。

「井上ボーリングという名前だから、ウチはボーリングが本業です。そのボーリングがもうちょっと役に立つ方法を変えたかったんです。1989年からNSR250Rのシリンダーを作っていたので、メッキシリンダーは減らないということを知っていました。メッキしてホーニングすれば減らないシリンダーが作れるんだから、それをなんとかICBMで実現させました」(井上社長)

 

ICBMをベースにエバースリーブが生まれた

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ICBMはあくまで井上ボーリングのノウハウありきの技術で、同社でしか施工できないものでした。しかしそれでは限られた人にしか渡らないことになってしまう。そこで全国どこでも加工できるようなパッケージとしたのが、エバースリーブのアイディアだったというわけです。

「今までは『この仕上げはウチにしかできない』とか『メッキもウチにしかできない』といった感じだったのですが、仕上がったスリーブを出せば日本中で売れると思ったんです。内径を完璧に仕上げても焼きばめだったら締まったときに狂ってしまう。だから今まではスリーブを入れた後にホーニングしていました。しかし鋳鉄スリーブではあり得ないのですが、驚くことに『アルミメッキスリーブなら内径完成後のスリーブを挿入しても変形が起こらない』ということに気づいたんです。内燃機関だからまずアルミスリーブが膨らみます。アルミスリーブが膨らんで触れたら、そこでシリンダー側に熱が伝導するからシリンダーの方も膨らみ始めて一体化する……ということはアルミスリーブのはめ合いが緩くても大丈夫なんだということに気づいたんです。」(井上社長)

 

多くの内燃機屋さんや技術のあるショップでもICBM化が可能に

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スリーブが遊んですでに傷だらけになっているシリンダーに入れてもうまく機能しません。特にスリーブ抜けが顕著なカワサキ  Z1やZ2などではなおさら。そこで、エバースリーブは一回り大きい寸法となっており、傷ついたシリンダー内部をサラッと一皮剥いてから入れるようできています。その作業自体にはそこまでシビアな精度が要求されないため、全国どこの内燃機屋さんでも対応可能というワケ。

「ボーリング屋さんなら何の問題もなくできるし、平らに削る面研などの機械加工ができる方ならDIYでだって可能です。エバースリーブのテストでは締め代ゼロから隙間ばめで0.01、0.03、0.05(mm)の4種類をテストしてみたんです。0.05なんてさすがにガタガタですがそれでも問題はありませんでした」(井上社長)

 

エバースリーブで特許出願中!

あの劣化しない究極のエンジンシリンダー加工が全国の内燃機屋さんでも施工可になるってマジ!?
はめ合いの数値を出してみたかったということでスタッフのスズキ GS750Eを使用してエバースリーブの実験もされています。画像のシリンダーは4気筒それぞれで0.01とか0.05mmという風にクリアランスを変えつつスリーブを緩く入れて1年程度走らせた後のもの。

「ICBMはツバ部だけは締め代が付いているのでそこだけはしっかりハマっているけど、その下は遊んでいる状態です。特許出願中なのはストッパーリングが別体になっているところです。ICBMは全てにメッキが施されています。メッキは砥石で研磨すれば剥がれませんが、フライスで研磨するとメッキが剥がれてしまうんですね。そこでエバースリーブではあえてリングにメッキしない製法にしました。リングの3mm部分まではフライスで削ってもらっても、シリンダー側のメッキは剥げたりしないんです。だから各所のボーリング屋さんにエバースリーブをお届けすることで、全国どこでもアルミメッキシリンダーに入れ替えることが可能になったんです」(井上社長)

 

別体リングによる貢献も!

あの劣化しない究極のエンジンシリンダー加工が全国の内燃機屋さんでも施工可になるってマジ!?

上部リングが別体であることもまた効果的になっています。ピストンリングはここまで上がってこないので摺動しないし、ホンダでも鋳造スリーブなのに、上だけアルミが被るように鋳込まれているものもあるのです。だから構造上はなんら問題ないというワケ。

「通常圧入のICBMのはめ合いだと最上部のツバの部分はグッと締まるから通常は少しは変形するんです。ところがリングが別体なので精度をキッチリ出しているスリーブは完全にフリーのままです。リング自体は内径に接しないので、思いっきり閉めてもフライスしても大丈夫。後工程の方は何も考えずにスッと入れてもらえれば、面研磨もできるし、はめ合いの心配もしなくて良いということなのです」(井上社長)

 

あの劣化しない究極のエンジンシリンダー加工が全国の内燃機屋さんでも施工可になるってマジ!?
ちょっと難しい話でしたが、エンジン内部まで手を入れるショップさんやレストアラーなら、エバースリーブはとても気になるところ。それこそICBM化を考えているなら、エバースリーブもこれからは選択肢としていれておくといいでしょう。「旧車のエンジンをオーバーホールするならアルミメッキシリンダー化」というのが定番になる日も近い!

Writer: NANDY小菅

Information

井上ボーリング
公式サイト

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