サッカーやワッフルで有名な西ヨーロッパ諸国の1国であるベルギーでは、「ダートバイクの墓場」という異名を持つヒルクライム競技「Hill Climb Andler」が毎年開催されています。参加者とその競技車だけでなく運営側に至るまで全員が命がけで、イベントを観に来たお客さんも見ているだけで心臓発作を起こしそうなほどです。
20回目を迎えたヒルクライム競技
まずはイベントの詳細を。開催場所はベルギーのAndlermühle(アンドラーミューレ)にあるAndler Hillclimbing(アンドラー・ヒルクライミング)です。のどかな自然に囲まれ、観衆が十分に収容できるほどのスペースを持つ未舗装のヒルクライムコースとなっていて、開催に必要な条件を十分満たしています。
競技の歴史は長く、冒頭で紹介した様に2019年の開催で20回目を迎えました。2019年には8月31日から9月1日にかけての2日間で開催されています。
あり得ない傾斜の崖を豪快に攻める
こちらの動画が去年開催されたHill Climb Andler 2019の動画です。ご覧いただくとわかる通り、とてつもない傾斜がついたヒルクライムコースとなっています。オフロードバイク経験の有無に関わらず、ゴールまでたどり着くには無理でしょと思わずにはいられません。
そんなあり得ないヒルクライムコースを走破すべくAndler Hillclimbingに集ったエントラント(参加者)たちは勢いよく走り出します。スタート地点から中盤にかけては路面の凹凸が少ないこともあってか難なくクリアしていく(この時点で十分上手い)のですが、
凹凸が激しくなる最終セクションでバランスを崩し、多くのライダーが急傾斜という魔物の餌食となっています。
フラットダート(平坦な非舗装路のこと)であれば転倒してもバイクを引き起こすだけですが、Hill Climb Andlerではそう簡単には済みません。転倒したバイクは無残にも崖から転落していきます。
中には豪快に回転してハンドル周りや外装部品を破損しているマシンもあるなど、文字通り「ダートバイクの墓場」です。果たして墓場から生きて帰ることのできたライダーとバイクはいたのかどうか、是非動画で確かめてください。
参加者の心の強さとバイクの強靭さ!
断崖絶壁をオフロードバイクが豪快に駆け抜ける姿や無残にも転落していく姿には(色々な意味で)心を打たれる中、それでも挑むライダーの心の強さ、そしてバイクが転倒してもある程度姿を残している強靭さに目を引かれます。
ライダーの装備品も目を向けてみましょう。ヘルメットはもちろんのこと、オフロードブーツ、グローブ、上下モトクロスウェア、オフロード走行に必要なものをフル装備しています。転倒してもこの通りの笑顔、心に余裕があります。
フェンダーやハンドルなどにダメージを負っている車両がほとんどながらも、バイクは原型を留めていて、引き起こせばそのまま乗って帰ることができそうに見えます。しかし、クルマで同様のクラッシュをしたら間違いなく廃車です。そういったバイクへのダメージの少なさが思い切りの良いヒルクライムアタックにチャレンジできる要因の1つとなっています。
難関コースに挑戦する人間とバイクのたくましさが魅力
決して安全とは言えないオフロード・ヒルクライム競技、しかし難関コースに挑戦するライダーの心の強さとそれを支えるうマシンのたくましさは観客に確実に伝わります。何事も楽しい遊びほど危険の匂いが漂うものです。ちょっと勇気がいりますが、男ならこのスリルは体験してみたいハズ。筆者もオフロードをたしなんでいるので、機会があればぜひ参加してみたいです。