読者の皆様は「一生もの」と聞いたときに、はたしてどんなものを思い浮かべるでしょうか?
筆者の場合は、それほど意識せずに所有や収集しているうちに、なんとなくそれに近い状態になったものを除くと……
コストパフォーマンス至上主義のせいか、自分の用途・要望に対して過剰品質・コストと断じたものには手を出さなかったり、(特にそういうフレーズが多用される服飾やモノにおいては)そういう記事を見かけても頭っから「あんなもんは売り文句にすぎず、推した次の瞬間には次の推しを考えてんだろ」くらいにしか思っていなかったりします(笑)
自分に対する(予算的な葛藤に対しての)エクスキューズとして使っている人も多いですね。
では、そんな筆者でさえ認めざるを得ない、どんなものが一生ものといえるでしょうか?
一生ものとは?
色々思いつきはしましたが、それら全てを集約していくとこの2点となるのではないでしょうか。
- 時代や流行の変遷があっても(所有者にとって)価値を失わない
- その価値を末永く保ち、所有欲を満たすだけの性能・品質・デザイン
そして、上記2点をクリアするためには
- 高い性能・品質・デザインを保証するブランド力、ネームバリューのキープ
- 性能・品質をキープするためのメンテナンス体制が未来に渡って確立されていること
といった作り手に起因するものと
- 正しい使用方法と適切なメンテナンス
- そのイニシャル / ランニング / メンテナンスコストに価値を見出せるか
- 所有欲を満たしながら永年にわたって惚れ込み、様々なコストを捻出できるか
といったユーザーに依存するものともあります。
筆者の身の周りを見渡してそれに該当するといえば、時計や仕立てのスーツ・コート・ドレスシューズ、革鞄といったところではありますが、ここでそれらについて語るのも似つかわしくないので、せっかくforRideで書くのであれば、やはりクルマ・バイクに絡めてみましょう。
クルマ・バイク趣味における一生もの
友人や知人の中には、特定のクルマやバイクそのものを一生ものとするべく取り組んでいる人も数多いのですが、やはり前項で条件として挙げた「メンテナンス体制=部品供給や技術継承」が大きな障害となっていることが多いようですし、あまり一般的な例とはいえませんね。
もう少しハードルを下げて見廻してみると、革ウェアや革ブーツといった革ものでしょうか。
これも、それなりのコストのかかっているものは永年修理を重ねて使うことを考慮した造りになっていたり、一部の老舗や新進気鋭のメーカーでは永年使っていくための体制を敷いており、ウン十年ものの革ジャンを直し治し(騙し騙し)着ている知人もいますが、街着のそれとは違って完全修復が難しい損傷・損耗をすることも多く、ユーザ側の様々な事情(予算、メンテ状態、サイズ変遷)もあって、結局買い替えに走ってしまうケースも多く、「一生もの」としては少々弱いようにも感じます。
しかしながらクルマ・バイクの分野には、多くの人は一度買ってしまえば、ほぼ一生使い続ける(であろう?)ものがあります。
工具
以前に、整備初心者は車載工具でもこなせる程度の整備から…… と書いた記憶もありますが、決して車載工具を積極的に使うことを推奨しているわけではありません。
(まずは手をつけてみるきっかけということで)
軽い整備であっても「用途にあった」「精度の高い」工具を使うことにより、楽をしながら効率が良くなるだけではなくミスも減らすことができますので、DIY整備を継続していく上で工具を準備したり拡充していくことはとても大事なことです。
ただ、よくベテランライダーや整備上級者の話題に出てくるような一流ブランド工具は、プロの領域を目指していたり、プロと変わらぬほどの使用頻度であったり、コレクター目線でもない限り、精度と耐久性の面では必須ではないというのが、冒頭でも述べたコスパ至上の筆者の考え方です。
もちろん一流ブランドのものは、その値段に応じた作業性と使い心地と堅牢な耐久性とアフターサービスを誇り、見た目やメーカーそれぞれの特色やギミックも所有欲を掻き立てるのですが……
整備レベル次第でもありますがサンメカDIY程度での使用頻度でなら、ブランドもので揃えたごくベーシックなセットよりも、同じコストでならもう少し痒いところまで手の届くような、どれだけ特殊なものまで網羅しているかが重要というのが、現在の筆者の立ち位置です。
まとめ
もっとも、あらかたの工具は(工具チェーン店のオリジナル品レベルながら)揃っているので……
今まで借りたり代用品で済ませていたような、この先の一生のうちに片手で足りるくらいの出番の特殊なものを安物~中級品でさらに拡充していくのか、基本中の基本のセットを一流ブランドものに入れ替えていくのかは、本人にも把握しかねるこれからの課題だったりします。
どちらにせよ一生ものだと言えなくはないですね(笑)
ひと昔前だと、どこで入手すればいいのか分からなかったようなものまで、価格を比較しながら簡単に探し出して翌日には手元に届くようにさえなった社会の功罪ともいえます。
とはいえ、なんだかんだ言ってもそのうちいい工具は欲しくなってくるもので、いい物を使ってみる機会があると、安物のダメなところが判るということもあります。
私の場合工具に関しては、そのダメなところを詰めていくコストは自分の用途と要望に対して過剰だと判断したに過ぎません。
趣味でやっているからこそ、見栄も込みで使用頻度は少なくともお気に入りの道具でという考え方も勿論アリですし、本当に一生ものとして使い倒すつもりであれば、最初にいいものを揃えるのは賢い選択であることは間違いありません。
今から揃えようかという方にとっては煙に巻くような話になってしまいましたが、参考にしてみてください。