日本のみならず、ハリウッド映画にも影響を与えたと言われている攻殻機動隊。1989年に制作され、あのマトリックスにも大いに影響を与えました。監督であるウォシャウスキー兄弟は、攻殻機動隊から大きなアイデアを得たと公言しています。
そんな攻殻機動隊の義眼レンズが実際に作られるという時代がきました。アメリカのモジョ・ビジョン(Mojo Vision)という会社が10年に渡り、極秘で開発を進めていたようです。
今回は、ディスプレー内臓コンタクトレンズを詳しく見ていきたいと思います。
モジョ・ビジョン Mojo Lensとは
ディスプレイを内蔵したスマートコンタクトレンズ。視界にさまざまな情報が表示され、視線を動かす事により操作ができるコンタクトレンズです。
自分だけに見えるヴァーチャルなインターフェースを操作するには、視点を合わせる事で表示されたアイコンをクリック。視線を左から右に動かしてフリックするそうです。
電車の路線を調べたり、音楽を再生したり、カレンダーをスクロールしたりなんて事ができる優れもの。スイッチを切る時は視線をそらすだけ。Mojo Lensを使用するための操作は、理論的にはこれだけです。
処方箋に合わせて度を入れたレンズにする事も可能だそうです。かさばるヘッドセットなどを着用する事なく、リアルタイムで視野に表示された情報にアクセスする事ができるので、様々なシーンで活躍する事が期待できます。
Mojo Lensの活躍の場は?
現段階では商用化という目途は立っていませんが、画像拡張技術などを用い視覚障害者の移動や読書などを支援できる可能性があると言います。
米食品医薬品局(FDA)からは画期的なデバイスとして黄斑変性症や網膜色素変性症の患者を支援する医療機器として試験をする承認も受けたそうです。
現段階では価格などについては具体的な数字は出ていませんが、医療用として使用する事となれば保険適用ができる可能性もでてきます。
視覚に障害のある人は、費用の一部を保険で賄える事もあるかもしれません。
また、火事の現場に出動する消防士が、建物の安全な場所や温度などに関する情報を表示できるマスクと同様に緊急な現場などに対応する職業の人向けにもMojo Lensが活躍できるかもしれません。
Mojo Lensの問題点
現段階で製品化するにあたり、やはり問題点は多くあります。誰もが気になる問題点とは、まず電源、バッテリー等の問題です。
そして、電子機器で眼球に傷がついたりしないのか?また、レンズを通し電子部品が見えたりしないのか?など解決していない問題点はまだまだありそうです。
電源に関しては、小型の外部バッテリーパックが電力を供給。センサーデータを処理し、ディスプレイに送信する仕組みになるそうです。
しかし、これでは目に見えないコンピューティングとは言えず、今後の開発がどうなるのか気になる所です。
Mojo Visionという会社
Apple、Amazon、Google出身のエンジニア達が設立したアメリカのスタートアップです。これまでに、累計1億ドル超の資金調達を行っています。
事業の目標としては、ユーザーがスマートフォンやタブレットなどの機器を用いずに情報収集を確立する事。Mojo Visionはこれをinvisible computing=目に見えないコンピューティングと言う言葉で表しています。
最後に
視力に問題が無い人たちがスマートコンタクトレンズを使用するのは、まだ少し先になりそうですが攻殻機動隊が魅せていた近未来SFの世界が30年経ったいま、現実となると思うと「ついにこの時が来たか!」という興奮を覚えますね。