クラシカルなのに中身は最新!? 今こそ振り返りたいネオレトロモデルの魅力

当メディアでも紹介することの多い、過去の名車や旧車の数々。憧れを抱く人は少なくないかと思いますが、実際に入手しようとなると話は変わってきます。

現存している以上に数が増えることはありませんし、欲しくて手に入れた人は手放しませんので、需要が供給を上回ってしまうと車両価格もとにかく高騰。くわえて、入手できたらできたで維持にも相当な手間暇とお金を使うことになります。

 

大好きなバイクのためなら・・・・・・そういった壁を知恵と工夫と努力、または経済力で乗り越えられるくらいの熱意があればもちろん問題ありません。でも漠然と憧れる程度の場合は「なにもそこまで」と自分に言い聞かせて諦めてしまいがちです。

「不安なく乗れるクラシカルなバイクがほしいなあ」なんていうユーザーの嗜好をメーカーも汲み取ったのか、近年「ネオレトロ」と呼ばれるジャンルのバイクが世界的な人気を獲得しています。その魅力を今一度振り返ってみましょう。

 

安心して乗れるクラシカルスタイル「ネオレトロ」

BMWモトラッド「R nineTレーサー」(2017〜2019)

ネオレトロは、現行車として古風なデザインに仕立てられたものもありますが、現代的な車体構成を流用して古風に仕上げられたものが主流です。

見た目は古っぽくとも中身は最新というわけで、乗りやすさや扱い易さは一般的な最新モデルに準じており、メーカー純正であればたとえカフェレーサースタイルをとっている場合でも、一部を除いて極度の前傾姿勢を強いられることもありません。

 

当面はパーツ供給に困ることもないでしょうし、旧車に特化した専門店以外にメンテをまかせても問題になることはまずありません。初心者が最初の一台として選んでも、比較的安心して乗れる、乗り続けられるジャンルのバイクといえます。

元ネタになったような旧車を持っているような人でも、本命を温存するための日常使いや、消耗やアクシデントを気にせず手加減なしにゴリゴリ走らせるために買うといったケースもあるんですよ。

 

偉大な名跡を襲名したリバイバル系

一口にネオレトロといっても、実はいろいろなタイプがあります。例えば、落語や歌舞伎でもよくあるように、いったん途絶えてしまっていた過去の名跡を復活させたパターンがその一つです。

 

先達の意匠を現代的に昇華:スズキ「カタナ」

スズキ カタナ

スズキ「カタナ」 メーカー希望小売価格:151万2,000円(税込)

2000年の旧モデル生産中止以来、かなり前から待ち望む声のあったカタナ。モーターショーごとに肩透かしをくらわせながらも、満を持して2019年に襲名デビューとなりました。ビッグネームの復活だけあって、ディテールに否定的なキビしめ意見も散見されますが、日本刀を彷彿とさせるシャープなカタチはカタナ以外の何者でもないといえるでしょう。

男のネイキッドスポーツ:カワサキ「Z900RS」

カワサキ 「Z900RS」

カワサキ 「Z900RS」 メーカー希望小売価格:135万3,000円(税込)

襲名というと判断に苦しむ部分もでてきますが、Z900RSもリバイバルであることに違いはないではないでしょう。ゼファーシリーズも込みの「Z」ファンの待ち望む声に応えた形で、ツインショックこそ採用しなかったものの、ロングテールに丸目ライトと伝統的なスポーツネイキッドの様式に忠実なデザインと最新の動力性能でこちらもずいぶん話題になりました。

 

いずれも既存の現行車をベースに、デザインに元ネタとなった過去の名車のアイコンを取り入れていくという手法を取っています。

 

遅咲きの新人系?

新人なのにベテランの風格を漂わせ、デビュー作から老け役を演じるようなパターンもあります(笑)。

 

全く新しいのにどこか懐かしい:ヤマハ「XSR900」

ヤマハ XSR900

ヤマハ「XSR900」 メーカー希望小売価格:106万1,500円(税込)

2017年のデビュー以来、レトロなデザインを近未来的なイメージで解釈し直したスタイリングで注目を集め続けているのが、XSRシリーズです。先に登場したXSR700ではプロモーションで1970年代の名車XS650を登場させていながらも、後発となるXSR900では特に元ネタとの繋がりを明示したり象徴的なところを模ったりといったことは匂わせませんでした。

むしろそのおかげでカラーリング次第でいろいろな見え方がしてきます。オーナー次第でGX(XS)、XJや、はたまたRZといったかつての名機たちに思い入れを重ねることもできるわけです。

 

らしさを保ちつつも新ジャンルへ挑戦:BMW「R18」

BMW R18

BMWモトラッド「R18」 メーカー希望小売価格:254万7,000円(税込)

BMW初のアメリカンクルーザーがR18です。リアサスレスに見えるリジットフレームや細長い涙型のタンクといった1920年代のバイクにみられる意匠を受け継ぎつつ、クルマ並みの排気量を持つ1800ccのエンジンを搭載。その完成度と佇まいは何十年もの間ラインアップされ続けているかのように錯覚させるほどです。

 

コスパ最高のカフェレーサー:GPX「ジェントルマンレーサー200」

GPX ジェントルマンレーサー200

GPX「ジェントルマンレーサー200」 メーカー希望小売価格:42万9,000円(税込)

現行車の1バリエーションとして、クラシカルなカフェレーサーに仕立ててラインアップされたモデルです。タイ生産とはいえ、同国で第3位の人気を誇るメーカー性ということもあり、かなりしっかりと作り込まれています。

程よい価格とパワーは初心者のエントリーモデルとしてはもちろん、ベテランのセカンドマシン、サードマシンとしてバリエーション増にも最適ですね。

 

オフ車以上にオフ車:トライアンフ「スクランブラー1200(XE)」

トライアンフ「スクランブラー1200(XE)」

トライアンフ「スクランブラー1200(XE)」 メーカー希望小売価格:192万1,900円〜(税込)

オフロード車登場以前に流行したクラシカルなスクランブラースタイルの急先鋒ともいえるのが、トライアンフのスクランブラー1200。専用開発されたオーリンズのツインショックにロングストロークのショーワ製フロントフォークなど、その装備はフラッグシップ車顔負けです。上位モデルであるXEに至っては、岩場や凹凸の多い路面といった厳しいオフロード走行にすら耐えうる走破性を発揮。見た目だけじゃない本格派となっています。

 

おまけ:生きた化石系?

ここまでのモデルは設計から新規に起こされていましたが、基礎設計は昔のまま生き残っているパターンだってあるんです。まさにバイク界のシーラカンス!?

 

そのままだからイイ:ヤマハ「SR400」、ロイヤルエンフィールドの単気筒モデル等

ヤマハ「SR400」 メーカー希望小売価格:58万3,000円〜(税込)

ヤマハ「SR400」やロイヤルエンフィールド「ブリット500」といった寿命の長い単気筒モデル群は「ネオ」ではありませんが……子供のころにすでにおばあちゃんだった隣の家のおばあちゃんが今でも変わらずおばあちゃんであるように、新車であっても純然たるレトロといえます。

ただ、「実はそのおばあちゃん、見た目はそのままに刻々とサイボーグ化されていた!」かのように、寿命が近付いたかと思うと環境性能面でアップデートをうけては現行ニューモデルとして復活しています。もはやメーカーにとってはなくてはならない存在なんでしょう。

キック始動や走行時の振動といった扱いの難しさはあるにしても、維持管理の面ではモダンなモデルとそう変わらないように仕立てられているのもあって、魅力はいつまでも色あせません。

 

いまやバイクジャンルの一大勢力となったネオレトロ。これからどんな復活やアレンジがあるか楽しみですね。

Kenn

Kenn

モノと生き物の境目が曖昧なちょっとイタい人。 バイク・クルマに限らず、作り手の情熱・魂の込もったモノに惹かれます。 DOS時代から名乗っているハンドルなので、某声優のほうが後発デスヨ