今日は大変ユニークな一台、エストニアが生んだ軽量ツアラー「Renard Grand Tourer」をご紹介いたします。“GT=Grand Tourer”としての性能を追求する合理的なデザインと熟練の職人による高い製造技術により、ユニークな製品を生み出すコンストラクター”Renard”が、高い独自性を有する軽量ツアラーを目指して開発しました。
フルカーボン製のモノコックシャシーで圧倒的な軽さを実現
写真をご覧いただければお分かりの通り、最大の特徴はフルカーボン製のモノコックシャシー。これにより圧倒的な軽さを実現しています。全体的なフォルムは曲面を意識したデザインで構成されており、大排気量モデルにありがちな威圧感がなく、むしろ触れてみたいと思わせる所があります。
フロント・リアともにモノコックサスを採用するなど足回りも個性的
ユニークなモノコックシャシーを支える足回りも個性的。フロントフォークはフレーム同様のカーボン製。オーリンズ製モノサスペンション(STX 36)を奢っています。リアもオーリンズのモノショック(TTX 36)です。
前後ホイールもカーボン製
フレーム・フォークがカーボンとなれば、当然、前後ホイールもカーボン製。ちなみに前後ブレーキシステムはスウェーデンのISR社製品を使用しています。
エンジンはモト・グッツィ製のVツイン1,326 cc
エンジンはモト・グッツィ製の流用。Vツイン1,326 ccを縦置きしています。最高出力は123HP / 7,100rpm、最大トルクは134Nm / 5,600rpmを発生します(今後は1,150ccに変更予定)。
この仕様で装備重量は199kg。素晴らしく軽量であり、全長2,070mm、全幅810mm、全高1,010mmとコンパクトに仕上げています。気になるお値段は、カスタマイズによっても変動しますが6万ユーロ(約780万円)からとなります。
Renardは1938年に創立された歴史あるメーカー!
ところでRenardというメーカー、皆さんはご存じでしたか? 私は以前洋書でチラと見かけたことがあるだけで、この「GT」に興味を持つまでは、どこの国のメーカーかさえ覚えていませんでした。元をたどると、Renardは1938年、実業家のJ. Laan氏がエストニア首都タリンに設立したメーカーです(Renardとはフランス語でキツネの意)。
同社最初のモデルは、シンプルなパイプフレームにザックス製の98ccエンジンを搭載したモペッドでした。ところが1944年3月、第二次世界大戦時に空襲を受けて工場は壊滅。閉鎖されてしまいました。それから長い年月が経った2008年、エストニアの実業家グループが、同国オートバイ産業を復活させたいとの願いから、Renardブランドを再興させたのだそうです。そして製造された最初のモデルが「Renard Grand Tourer」。細部に改良を続けながら、今日に至っています。
最後になりますが、「Renard Grand Tourer」のPVをご覧ください。
エストニアのコンストラクターが生み出す、高い独自性を有する軽量ツアラー「Renard Grand Tourer」。ぜひ今後も、エストニアのオートバイ産業を盛り上げてほしいですね!