モトグッツィといえば、ゆったりと回る空冷縦置きVツインエンジンが魅力なツアラー……ってイメージが強いと思いますが、それだけが魅力ではありません。同メーカーの旧車ベースに別の魅力を表現したカスタムバイクをご紹介してみます。
「Side Rock Cycles」にとってバイクとは生き方である
今回ご紹介するカスタムバイクの制作者は……イギリスは中央南海岸のボーンマスに拠点を置く「SideRock Cycles」です。70年代から80年代の車両をベースにした、カスタム、カフェレーサー、ストリートスクランブラー、ブラットスタイルを得意としています。
設立者は、1970年代半ばからオートバイと自動車の貿易に携わってきたPete Hodson氏。国内レベルのロードレース経験が豊富であるのみならず、クラブチャンピオンシップに加えて、エンデューロとトライアルもたしなんでおり、そこで得られた経験を投入してカスタムしているそうです。「オートバイは単なる情熱ではなく生き方だ!」がモットーという熱いお方であります。
70年台のツアラーがモダンなスポーツネイキッドに
そんなHodson氏が制作したのがコチラ! 1970年代後半に生産されたモトグッツィのツアラー「SP 1000」をベースにしたカスタムバイクであります。全く時代を感じさせない、といいますか……エンジン周辺を見ると確かに旧車。だけど全体はモダンな、なんとも見事な出来映えです。
フロントの足回りは、同メーカーが2000年代前半にラインアップしていたスポーツネイキッド「Brevia 1100」用フォークを流用しています。もちろん、ポンと着くワケがありません。新しい45mmユニットに合うよう、ステムはもちろんのこと、フォーク内部を正しくフィットするよう変更。ホイールスピンドル、スペーサー、キャリパーマウントを機械加工して制作するという徹底ぶりです。もちろんトリプルツリーは一品モノとして制作しています。
クラシカルなBoranni製品のアロイリムは丁寧に再生。スポークにはステンレス製を採用したそうです。ここにイタリアンパーツを採用しているのも、なんとも美しく感じます。 一方で、ブレーキには信頼の4ポットBrembo製キャリパーを装備しました。
もちろんエンジン&トランスミッションは完全オーバーホール済。そのうえ、キャブレターには美しい合金製インテークで飾られた、より大口径のデロルト製品が奢られています。このカットでは、しっかりとお見せできませんが……。
フルアジャスタブルの機能を備えたリアショックは「フランスのショックファクトリーによって特別に作られたもの」とのことですが、残念ながらショップや加工詳細の情報はありません……。
しかし、ここにゴールドのオーリンズが入っていないところに、これまた好感が持てます。全体がシルバーで統一されていますから……。
イタリア製のリアセットフットレストとブラケットは、スポーティなライディングポジションを提供しますが、極端ではありません。これも低めながらもクリップオンではないバーハンドルと、ベストマッチ!あ……デロルト製キャブレター見えた!!
そして……旧車の泣き所である電装系はドイツのMotogadget製品でセットアップ。キーレスイグニッション、デジタル電子イグニッションを採用しています。
これからの展開が楽しみ!
ということで今回は、イギリスのカスタムビルダー「Side Rock Cycles」が手掛けた旧車ベースのカスタムバイクを紹介してみました。
機能パーツをオーバーホールしつつ、流用パーツも賢く利用。そのうえ旧車の弱点である電装系もバッチリ。なんて見事なカスタムなのでしょう。ベースが地味なので注目され難いと思いますが、Side Rock Cycles……もっと知ってもらいたいカスタムビルダーです。