クルマやバイク業界にも押し寄せているEV化の波。当メディアでもさまざまな取組みを紹介してきました。
今回紹介するベルギーのバイクショップ TREVOR Motorcyclesによって製作されたSTELLA(ステラ)はオフロードタイプ。やっぱり自然環境で乗るバイクにはクリーンエネルギーがうれしいところ。モリモリ湧いてくるトルクと79kg!という軽量な車体のおかげで、出足の早さはもちろんのこと、オフロード熟練者でも試してみたくなるほどのスペックを誇っています。
スリム&ライトでスタイリッシュなデザイン
見ての通り、ステラはこれまでのオフロードバイクからは考えられないくらいスッキリしています。エンジンや排気系パーツなどのメカメカしいパーツが無いので当たり前といえば当たり前ですが、EVにありがちなバッテリーの野暮ったさが最小限に抑えられているおかげでしょう。むしろ、ユニットとして収まりよくなっている分、ちゃんと完結したデザインにすら見えます。
モーターはインホイールではなく、リアタイヤ前に取り付けられています。最高時速は90km/hで最大トルクは260N・m。トップスピードはお世辞にも高いとは言えませんが、400kg以上の質量をグイグイ前に進めていくパワーのあるゴールドウイングですら、170N・mくらい。EVならではの高トルクは一度でいいから体感してみたいところです。
カラーリングはより塊感が強調されていてクールな印象を放つマイティーブラックと、鮮やかさと洗練された雰囲気を放つアイスホワイトの2種類が用意されています。
オフロード繋がりでハスクバーナのヴィットピレンとスヴァルトピレンをどこか彷彿とさせますね。あちらはどちらかといえばロード向けのスポーツタイプですが、シンプルなスタイリングも通ずるところがありますし、白黒ですし。意外とインスパイアしていたりして。
航続距離と充電時間はどうなっている?
電動となると、心配になるのが1充電でどれだけ走れるのか、そしてどれくらい時間がかかるのか。デカデカとしたバッテリーを抱えている分、航続距離は問題なさそうですが、充電時間は果たして……。
ステラのバッテリーには総電力量2.7kWhと5.4kWhの2種類が用意されています。スペック上での話になりますが、2.7kWhのモデルは1.5時間、5.4kWhのモデルはその倍にあたる3.0時間の走行が可能です。充電にかかる時間は3kW充電器を使って1.3時間となっています。
住まいのすぐ近くに未舗装路があればサクッと走るのに使ったら楽しそうですね。燃料代がほとんどかからないところも魅力的です。
名の知れたパーツで手堅く構成
ステラの構成部品は名の知れた社外メーカー品が採用されています。例えばフレームはスピード競技やそのレース車両のカスタムを行っているベルギーのワークハウススピードショップ製。素材として一般的なモリブデン綱をベースに、強度や柔軟性に優れることで知られるトレリス形状に仕上げています。ハンドルレバーはグリップやレバーなどでお馴染みのパーツメーカー ドミノ製となっています。
個人的に気に入ったのは前後にオーリンズ製のサスペンションが標準で装備されていること。オーリンズ=高性能の代名詞みたいなところもありますし、アフターパーツを購入してカスタムする手間も省けます。
どんな使い方でも楽しめそうなバイク
ステラの価格は1万2995ユーロ(約152万円)で現在予約受付中。日本への輸送も対応しているので、購入の敷居は若干低いかも。ただ、頭金として100ユーロが必要になっています。
ミニマルデザインで、騒音も排気ガスもないオフロードEVなら、どこを走っても爽やかな風景に巡り逢えそうですね。