スタントマンが命がけで交通事故講習!? 縮小したスタント業界は今どこへ?

元来スタントマンは完全な裏方である。役者に危険な行為をさせないため自らその行為を代わっておこなうのが本来の仕事である。当然選ばれし人間でもある。だからこそ、知る人ぞ知る危険でかつ華やかな職業だった。

 

ただこれは二昔前のこと。テレビドラマにしろ、映画にしろ実際の画面上ではわずか数秒もしくは十秒単位でしか出演しないスタントマンの仕事に今はほとんど声がかからなくなった。

あたりまえだが、スタントシーンにはそれなりのお金がかかる。だから現実的には「スタントに金をかけるなら他のシーンにお金を回す」という制作側が多いしスタントシーンなしの作品が多い。また最近はCGを用いる場合も多い。実際、スタントシーンの撮影は場所、準備、などで結構時間がかかることもある。

撮影日数全体からすればこの時間もおしい、となってしまう。だから最近は国内の映画やTVドラマではなかなかスタントシーンは見られない。ちなみによくあったスタントは、自動車やオートバイのアクション的な走行、転倒、高所からの転落などだがもちろんこれも最近はあまり見ない。

 

まったく個人的な意見だが、だから最近のアクションものはつまらない。迫力のないアクションものってなに?って感じだ。ちなみに殴られて転倒する役も実はスタントとして成り立っていて○○ライダーとか○○レンジャーなどはライダーやレンジャー本人も悪役たちも皆スタントチーム(現場ではアクションチームと呼ぶ)が請け負っている。

 

結果的にスタント専門の会社は縮小せざるを得なくなった。ただここ数年スタントチームが大活躍するイベントが全国的に評判を呼んでいる。それも誰もが無料で迫力あるシーンを見れるのだ。一度も見たことのない人には是非ご覧になることをお勧めする。

 

交通事故を再現して見せるイベントで、全国の小、中学校や自治体、警察などの依頼で、極力本物の事故に近いシーンを彼らは見せてくれる。本物の交通事故を目撃したことのある人は少なく、このイベントで事故シーンを見たほとんどの人がその瞬間あぜんとしてしまう。本物と同じように結構なスピードで自転車やバイクを走らせて事故を再現する。

 

一番はやはり「音」だろう。自転車や人が車やオートバイとぶつかった音はかなり衝撃的だ。また昔学校でやっていた交通安全教室みたいに、校庭や体育館に模擬交差点を作って横断歩道の渡り方や自転車の曲がり方などを練習するのではなく、実際事故が起きるとこうなりますよ!というのを見せてくれる。

彼らの事故再現シーンの多くをを見てきたが、事故の瞬間悲鳴を上げる女性や茫然とする見学者が多い。それだけ迫力がありすさまじいのだ。本物の事故に近いだけに子供だけでなく大人たちにも事故の怖さは十分に伝わっている。

 

表現する彼らにとってもプレッシャーはすごいはずだ。TVや映画撮影みたいに取り直しはできないし常に一発勝負である。一番大事なことはケガをせずに事故を再現して見せることかも知れない。ただ、TVや映画の撮影時と大きく違うのは彼らが主役であること。決して裏方でなく思い切りその特技を生かし多くの人たちに交通ルールの重大性を教えてくれる。

 

自らの体を張って交通事故の重大性とその原因を知らせてくれる彼らスタントマンたちは、やはり今も危険で華やかな職業かも知れない。