イタリアを代表するバイクメーカー、ドゥカティ。日本のバイクに無い尖ったデザインや、超ハイパワーのエンジンなど、こだわりのメーカーとしても知られています。
そんなドゥカティのネイキッドスポーツといえば、「モンスター1200」。日本でもむき出しのエンジンの美しさに魅せられたバイカーが多く、あえてそこを隠そうとする人は稀です。ましてやモンスター1200をフルカウル仕様にするなんて……。
でもスペックだけ見れば、スーパースポーツに決して引けを取らないほどですし、サーキットでも十分に活躍できるはず。そんな思いに至ったのか、イタリアはカレンツァーノ出身のラウル・ファットーリさんはフルカウル仕様のモンスター1200を制作してしまいました。
モンスター1200ってどんなバイク?
まずモンスター1200について振り返っておきましょう。1200ccのドゥカティの伝統とも言えるL型2気筒エンジンを積んでいて、最高出力147 ps、最大トルクは12.6kg-mと、同社のスーパースポーツ パニガーレV2に匹敵するほどのパワー。モンスターという名前だけあって、ひとたびスロットルをひねれば、簡単にフロントが浮き上がります。エンジンの確かな存在感がたまらないカッコよさです。
倒立の極太フロントフォークは高剛性で、最高速から一気にブレーキングをしても、安定して減速ができます。さらに、ブレーキは柔らかいタッチで有名なブレンボ製のモノブロック式キャリパーを標準装備。握れば握り込むほど微妙なコントロールができます。
さらにリアサスペンションはオーリンズ製でプリロード調整や伸び側減衰調整もついており、幅広いセッティングに対応。これだけ見るだけでも、サーキットにそのまま連れ出せそうな性能です。
レース仕様でも公道仕様でも映えるフルカウル化
ベース車をおさらいしたところで、ラウルさんのフルカウル・モンスターを見てみましょう。ドゥカティの知られざるスーパースポーツと言われても納得してしまう完成度です。写真をパッとみると、「モンスター1200に汎用のカウルを取り付けただけなのでは?」と思う人もいるかもしれません。しかしよく見ると、大きく2点変更されていることに気がつきます。
まずモンスターは大型のヘッドライトが1灯付いているタイプですが、フルカウル化に伴い、カウルと一体化されている2灯式へと変更されています。
ただ単にサーキットを走るだけであればヘッドライトは必要ありませんが、ミラーやウインカーも取り付けられていますので、しっかり公道も走れるように考えられています。もちろん、一通り保安部品を外してライトを養生すれば、この通りレーサーとしても映えるスタイリングです。
そしてもう一つの大きな変更点はマフラー。純正では、排気ガスや消音の問題からサイレンサーが自己主張の強すぎる大型になってしまっていましたが、ショートタイプを採用。重量の軽減と抜けの良さを確保して、エンジンパワーを極力犠牲にしないように配慮されています。
ただしちょーっと街乗り向けではないほどの排気音の大きさになっているのも確か。目立ちたがりやなら問題ありませんが…!
おおらかなイタリアだからこそ許されているのかもしれませんね。
手軽なレーサーカスタムキットがあれば2つの楽しみ方ができそう
驚くのは、今回のフルカスタムはすべてボルトオンで装着できるようになっていること。ネイキッドに戻そうと思えばいつでも戻せるのです。これならストリートとレーサー両方が楽しめます。
カスタムパーツとして販売されてもおかしくないほどのクオリティの高い作品を、個人で作り上げたラウルさんの熱意には脱帽です。こうした着せ替えキットが純正オプションで用意されるようになれば、一台のバイクでいろんな遊びができて良さそうですね。