世界一売れたバイク「スーパーカブ」。もちろん各国で売れやすいように仕様も微妙に調整されていますが、今回はYouTubeでみかけた、独特なカラーリングのスーパーカブをご紹介いたします!
日本未発売カラーのカブ
タイトルでは「カワイイ」とは書いておりますが…… いわゆるショッキングピンクやネオンピンクといったところでしょうか?良く言えばアクの強い力強さ、悪くいえば目立ってナンボなカラーリングかもしれませんね(笑)
アクの強いピンクといえば最近ではトヨタ・クラウンであったり、昔ではスズキ・Hiでの黒との組み合わせが思い浮かびはしましたが、基本的に日本では好き嫌いがはっきり別れる色かもしれません。
それもそのはず、この車両はタイホンダがタイ国内で展開するモデルのバリエーションです。
昔から「タイカブ」と呼ばれる、タイ向けに企画デザインされてローカライズされたモデルもあるほどに、スーパーカブ(とその一族)には馴染み深い国で展開されているものです。
他の車種にも同色が展開されていたり、他のスーパーカブの色バリエーションを見るに、タイの国民性はこういった比較的はっきりした色を好むのでしょうか?
宗教的・歴史文化的に馴染みの深い色なのかもしれませんので、ざっと調べてみたところ、タイでは曜日ごとの色が定められており、自分が生まれた曜日の色のものを身につける等の習慣があるとのことで、ピンクは火曜日の色として男女問わず親しまれているようです。
ポップなカラーとあいまってツートンのシートもオシャレ。
日本向けモデルはどちらかといえば「淡い・柔らかい・くすんだ」といった表現がふさわしい感じのバリエーションが多いように感じます。
日本向けに純正でピンクがラインナップされるとすれば、桜色 / サーモンピンク / コーラルピンクといったあたりになるのかもしれません。
タイのカブ事情の変化
昔から「タイカブ」という呼称があるくらいに、タイ向けのカブ(ドリーム、ウェーブ)はカブ愛好家にはお馴染みでありました。
が、今回のモデルの広告では色以外にも留意すべき点があります。
これまでドリームやウェーブではタイでの事情を考慮したダブルシート等の実用性に加えて、モダンな高級感やスポーティを前面に押し出していましたが、今回のモデルでは日本人から見ても「Theカブ」ともいうべき原点回帰スタイルで、「レトロ(懐古調)」を売りにして推しています。
これはファッション等の分野ではありがちなことで、自動車先進国でのクルマ・バイク分野においても散見されることですが(日本でいえば日産のパイクカーシリーズやスズキのSW1等)、流行が一回りしてデザインが出尽くしたことにより、古いものがかえって新鮮に見えるようになったということで、タイのモータリゼーションも成熟期に到達した証左といえるでしょう。
タイに限らず、中国やいずれの東南アジア諸国でのモータリゼーションも普及期終盤~成熟期といったフェイズにあり、かつての日本と同様の過程を辿ると仮定したならば……
排気量による税制や免許制度でのメリット・デメリットが同列では考えられないことと、より厳しくなった環境規制もあるため、日本のバイクブーム期と全く同様の過程を辿るとは限りませんが、今後一家に一台の普及期から、一人に一台といった成熟期の趣味性に沿うためには、より一層の高性能化であったり、細かい用途に特化 / 集約といった差別化に走らざるを得ないジャンルもあり、各社の競争・競作が激化するであろうことは確かです。
台数あたりの収益の薄い小排気量のモデルでは、日本メーカーの眼差しは東南アジアマーケットにしか向いていないであろう昨今、マーケット衰退基調にある日本のバイク乗りとしては、ニューモデルの「おこぼれ」に与るべく引き続き中国・東南アジアの需要動向を注視してみましょう!
A.P. Honda
149 Rodrangkhao Road, Samrong-tai, Phrapradaeng, Samut Prakarn, Samut Prakan, 10130 Thailand