バイク好きなら必ず一度は憧れるBMWのバイク。そんなBMWのボクサーツインエンジンを搭載したアドベンチャーバイクR 1250 GSをベースに、オランダのカスタムバイクショップ アイロンウッドカスタムモーターサイクルズが「ドミネーター(支配者)」を製作しました。
Welcome to the future ⚡
Head to @BikeEXIF to check out this crazy new custom #R1250GS dubbed 'The Dominator' by Arjan Van Den Boom of Ironwood Custom Motorcycles.
A Son Of Time By TW Steel collab project with @BMWMotorrad Nederland & @twsteel.#SpiritOfGS #MakeLifeARide pic.twitter.com/1Na8cs2FnJ
— BMW Motorrad SA (@BMWMotorradSA) March 12, 2020
時計メーカー TW Steelからの依頼で始まったカスタムバイク製作は、10年連続国内販売台数トップを祝いたいBMWモトラッド オランダとの共同プロジェクトへ。カラーリングと軽快さを感じさせるフォルムからKTMみたいに見えますが、幾何学的なデザインは近未来的で個性ある1台になっています。
近未来感と非現実的立体感
燃料タンクやフロントフェンダーなどの外装パーツに施されたオレンジのストライプが特徴的です。それぞれの面の境界を強調しており、パーツ本体が車体とは別に独立して浮いているようにも見えますし、これから何かに変身するような雰囲気をまとっているなど、非現実的な立体感を醸し出しています。実際、光の加減によって色味が変わります。
R 1250 GS本来の姿はこちら。アドベンチャーバイクらしい重厚感のあるデザインや高い最低地上高など、未舗装路でよく映えますね。これはこれでかっこいいです。このデザインを知ったうえでドミネーターを見直してみるとその変貌ぶりに驚かされます。方向性の異なるバイクになっているのは明らかです。
デザインは全てビルダーのArjan氏が担当。クライアントの細かなオーダーはなかったため、ビルダーのクリエイティビティが全面に押し出されています。「他の惑星や訪れるであろう未来からやってきたバイク」というのがデザインのコンセプト。非日常感はバイクからバンバン伝わってきます。
随所に見られるこだわり
近未来感溢れるデザインを持つドミネーターには、その見た目の複雑さと比例するかのようにパーツにもかなりの手間がかけられています。例えばヘッドライトケースやサイドパネルなどのフロント部分から、極限まで引き締められた肉体のように絞られているテール部分にいたるまでのボディワークには、ショップ独自のオリジナルパーツを使用する気合の入れようです。
レザーシート表面の六角形ステッチに、リアサスペンションのコイルスプリング、レザーグリップといっちあ要所要所にはダークブルーのアクセントが。オレンジの差し色とはまた違ったクールな印象です。
前後ホイールには軽量カーボンホイールを揃えるRotobox製Bulletシリーズの17インチをチョイス。価格にすると前後ホイールセットで50万円という超高級品ですが、カーボン独特の質感や見た目、そして何よりもバネ下重量が軽くなることでハンドリングや乗り心地が向上します。
ところでタンク上部にある3つのキャップのようなもの、気になりますよね。
実はこれ全て時計ケース。燃料タンクに時計を収納できるケースを配置して「ダッシュボード」とする発想は、依頼主が時計メーカーであったからこそ浮かび上がったアイデアといえるでしょう。それぞれサイズが異なるので女性向けの華奢な腕時計から男性向けのゴツいミリタリーウォッチまで種類を問わず収納できます。
アナログらしさを感じさせるカスタムも
近未来感が前面に押し出されていますが、吸排気系パーツには古典的なカスタムパーツも採用されています。左右それぞれに取り付けられたDNAパフォーマンス社のパワーエアフィルターや、ハンドメイドのインテークパイプ、そしてサイド出しのエキゾーストパイプ。定番ともいえるカスタムを控えめにすることで、独自の世界観を表すカウルやフェンダーなどを引き立てています。
ビルダー×工業品メーカーのコラボレーション
近未来感と超立体的なデザインで現実離れしているかと思いきや、腕時計を収納することができる専用ケースのついた「ダッシュボード」があるというアナログな一面が折衷されています。今回のような「ビルダーと工業品メーカー」のコラボレーションはより個性を持ったカスタムバイク作りの新境地となるのかも。その際にはこのバイクに「支配者」ならぬ「開拓者」として存在して欲しいですね。