高級バイクメーカーとして知られるBMW。エンブレムはもちろんのこと、独自のデザインや機構もあって一目で分かるくらい存在感バツグンですよね。
以前は大型モデルばかりと高級路線で、なかなか手を出しづらい面もありましたが、今では中免で乗れるモデルもラインアップ。国産車と変わらない価格のモデルだってあるんです!
そんなBMWの魅力はどこから生まれたのでしょうか。歴史や代表的なモデルとともに振り返っていきます。
クルマより先にバイクから始まったBMW
ドイツのBMWといえば、クルマのイメージが強い方も多いかもしれませんが、1916年の創業当時は航空機のエンジンを主としていました。クルマの製造に着手したのは1929年で、バイクの製造を始めたのは7年前に当たる1922年から。意外なことにバイクの方が早かったんです。
日本で本格的なバイク製造が始まったのは1950年代に入ってからということを考えると、BMWが持つ歴史の深さに驚かされます。
伝統ともいえるアイコニックな機構を採用
BMWは他のメーカーとは異なった独自の機構を採用していることでも知られています。
その筆頭ともいえるのが、「縦置きの水平対向2気筒エンジン(ボクサーエンジン)」。Rシリーズをはじめとする多くのモデルで採用されています。
ボクサーエンジンは、ピストンが左右に開いた形で配置されるので、シリンダーの高さが抑えられて重心を低くできるんです。重心が低くなることで、走行時も押して移動する際もふらつきにくくなるので、取り回しがしやすくなるメリットにつながります。
そして同時に、動力伝達系であるシャフトドライブについても語らなくてはならないでしょう。一般的なチェーンやベルトに比べ、埃や泥など汚れによる動作不良が起こりにくく、定期的な交換もほぼ不要といいことづくめなんです。
その分、コストは高めですが”走り”にこだわるBMWならではといえる機構です。
長時間のライディングでも疲れにくい設計
またBMWはアドベンチャーやツアラーモデルを筆頭に、長時間乗り続けても疲れにくい設計が成されています。
特に後者にあたるK 1600やR 1250RTなどは大きな車体から生み出される安定感に加えて、安定した座り心地のシートや走行時に体に当たる風を極力抑えるウインドシールドなど、「長距離でも疲れ知らず」を実現する工夫が光っています。
SSからスクーターまでずらり!BMWの代表的なモデル
スーパースポーツからツアラー、アドベンチャーにスクータータイプまで幅広いモデルラインアップを揃えていることもまた、BMWの魅力です。その代表的なモデルを見ていきましょう。
オン/オフロード問わない高い走破性のアドベンチャー「R 1250 GS」
オフロードバイクをベースに、オンロードでの走行性能を高めた「アドベンチャー」を世に最初に送り出したのがBMWです。その代表格といえる「R 1250 GS」は、BMWの伝統である水平対向2気筒エンジンを搭載しています。
先進的な技術を積極的に取り入れていることも特長で、エンジン回転数に応じて最適なパワーを引き出す「シフトカム」を2019年に市販バイクで初めて搭載しました。特にUターン時や歩くほどの低速走行で効果を発揮してくれるので、転倒のリスクを低減してくれます。
この他にも上り坂で車体が後退するのを防ぐ「ヒル スタート コントロール(HSC)」をはじめとした電子制御もてんこ盛り。
大きな車体を様々な路面で安定して走らせるサポートが備わったアドベンチャーです。
R 1250 GS主要諸元
車両重量:278kg
エンジン型式:4ストローク2気筒
総排気量:1,254cc
最高出力:136ps
最大トルク:143N・m
価格:255万3,000円(税込)
そのままレースにも連れ出せるスーパースポーツ「S 1000 RR」
ロードにおけるBMWのフラッグシップともいえるのが、スーパースポーツの「S 1000 RR」です。車重200kgに対し、最高出力は207ps。1Lのペットボトルを馬1頭が引いている以上のパワーが出ていると考えれば、過激さがうかがいしれます。
ちなみに最高速度はカタログ公表値で305km/h。サーキットでないとそのスペックの全てを使い切れませんね……。
大パワーを受け止めるブレーキには、320mmの巨大なブレーキローターに、ブレンボに劣らない評価を得ているHAYES製ラジアルマウントの4ポットキャリパーの組み合わせ。溢れ出るパワーをうまくしつけてくれます。
流麗なスタイリングとなによりもスピードを求める方には、なによりの相棒となることでしょう。
S 1000 RR主要諸元
車両重量:200kg
エンジン型式:4ストローク4気筒
総排気量:999cc
最高出力:207ps
最大トルク:113N・m
価格:231万3,000円(税込)
ファーストクラスの乗り心地。ツアラー「K 1600 GTL」
BMW自ら “バイクのファーストクラス” と形容するフラグシップモデルが「K 1600 GTL」です。滑らかに回る直列6気筒エンジンを搭載しており、スムーズな加速を実現。車体の設計もあいまって、上質な大人の走りを体験できます。
さらに路面の凹凸を瞬時に読み取り、ダンパーを制御する「ダイナミックESA」や、バンク中でも安全なブレーキ介入を行う「ABS Pro」、走行シーンに合わせてRain、Road、Dynamicとを切り替えられる3つの「走行モード」など、先進の電子技術を惜しみなく搭載。
クルマ顔負けの安全性とユーティリティを実現した、ラグジュアリーな走りにいざなってくれる一台です。
K 1600 GT 主要諸元
車両重量:217kg
エンジン型式:4ストローク2気筒
総排気量:1,301cc
最高出力:140ps
最大トルク:140N・m
価格:218万9,900円(税込)
カスタムベースとしても人気!ネオレトロモデル「R nineT」
BMW伝統の水平対向2気筒エンジンを積んだ「R nineT」はクラシカルな外観のネオレトロモデルです。
スチールパイプでできたフレームにスポークのホイールと、伝統的なデザイン要素を取り入れていますが、倒立フォークにブレンボ製のラジアルマウントキャリパーなど、近代的な機構を採用。見た目にそぐわず、きちんと現代の安心して乗れるバイクになっているんです。
車体設計がシンプルなこともあり、世界中でカスタムベースとしても人気を博しています。
R nineT 主要諸元
車両重量:222kg
エンジン型式:4ストローク水平対向2気筒
総排気量:1,169cc
最高出力:110ps
最大トルク:116N・m
価格:209万4,000円(税込)
60万円台から乗れる中型モデル「G 310 R/G 310 GS」
「普通自動二輪免許で乗れるBMW」と話題になったのが、2015年から登場したスタンダードなネイキッドモデル「G 310 R」です。
エンジンこそ313ccと小ぶりですが、倒立フォークやラジアルマウントされたフロントキャリパーなど、上位モデルに付くような装備がG 310 Rには普通に備わっています。そんな豪華装備が付いて新車価格62万3,000円からと驚きのプライスなことも魅力!
さらに2016年にはアドベンチャーモデル「G 310 GS」が登場。どちらも乗りやすいBMWのエントリーモデルとして、女性人気も集めています。
G 310 R 主要諸元
車両重量:159kg
エンジン型式:4ストローク単気筒
総排気量:313cc
最高出力:34ps
最大トルク:28N・m
価格:62万3,000円(税込)
G 310 GS 主要諸元
車両重量:170kg
エンジン型式:4ストローク単気筒
総排気量:313cc
最高出力:34ps
最大トルク:28N・m
価格:69万5,000円(税込)
実は看板の一つといえるスクーター「C 400 X」
BMWでスクータータイプのバイクは「Urban Mobility(アーバン・モビリティ)」と呼称されています。まさに街乗り用といったところ。
中でも扱いやすいミドルサイズのスクーターといえるのが「C 400 X」です。ストップ&ゴーの多い市街地でも、しっかりと止まるブレーキと後ろから押し出すような鋭い加速もあいまって、軽快な走りが楽しめます。
左右非対称のヘッドライトをはじめとして、一目見ると印象に残る特徴的なデザインもまた魅力のひとつです。
C 400 X 主要諸元
車両重量:205kg
エンジン型式:4ストローク単気筒
総排気量:349cc
最高出力:34ps
最大トルク:35N・m
価格:86万5,000円(税込)
バイクライフの全てを許容してくれるBMW
大型モデルから中型まで、さらにジャンルだってSSからスクーターまで幅広いBMW。ステップアップも、セカンドバイクもBMWだけで済んじゃいそうなくらいです。
独自の機構やデザインも多いですし、一度惚れたら抜け出せない魅力がありますよ。