ちゃんと直したZというのはどんなに気持ち良いものなのかということを、世の中の多くの人は知らないままで乗っているだろう。しかし、本来のZの気持ち良さを体感するためには新品ヘッドを手に入れるしか道はない。
内燃機屋のプロフェッショナルである井上ボーリング代表の井上社長からキミへ、再生産Zシリンダーヘッドにかける思いを伝える第3弾です!
どうせエンジンを開けるなら腰下も直したくなりますね
井上社長「5年位前はZのクランクって、分解・組み立て・芯出しは出来なかったんです。うちでもやっていなかったし、よそでもやっているところはなかったと思います。でもこんなに売れているZなんだからクランクも直せるようにしようと思ったら、もう既にベアリングが手に入らなかったんですね。それでベアリングを発注して今では直せるようにしました」
中古部品は良いものがなくなってきている…
井上社長「今まではコンロッドがダメだと他のクランクから持ってきて組み立てて使うしかなかったんです。でもだんだん良いものが見つからなくなってきているんです。しょうがないから小端部にブッシュを入れて直して使ったりとかすることもあるんですけど、ブッシュを入れるくらいなら新しいのがあればそれを買った方が安いくらいの工賃もかかってしまう。それでも今まではなかったからそれでやっていたんですけど、自分のところでコンロッドを作ればそれを組み込んで良い状態の腰下が作れるようになります」
実はZ1のコンロッドを製作中だ!
井上社長「Zのコンロッドってまだどこも作っていないんです。前にやろうという話もあったんですけど、どこも本気でやっていなかったんです。でも今はヘッドのリリースも決まったので、ウチではコンロッドキットを作って売り出そうと思っています」
ちなみにZ2用は?
井上社長「Z1とZ2、そしてZ1000ではみんなコンロッドの形状が違うのでいきなり全部には対応できないんです。なので、まずはZ1用を作ります。ヘッドの発売に間に合わせたいところですね。ミッションとか他にもありますけど、ヘッドとシリンダー、そしてクランクをやれば、これで大事なところは全部やってあるという形になります」
ノーマルZの真価を見定めて欲しい
ノーマルのZは素晴らしいものですが、現在多走行で乗っている車両は本来の性能はかなり失われていることだろう。それをちゃんと直せば新車と同じ、もしくはそれ以上に良くなる。
チューンナップしたりカスタムしたりするのも良いけど、ノーマルのままでもちゃんと直すだけで元々のZは素晴らしい走りをしてくれます。それがZの懐の広さだし、Zならではの面白味でもある。
再販ヘッドから安心して乗れるZに!
今までは古いZを買おうとしたときには「古いZなんて買ったって、すぐに壊れるからやめておいた方がいいよ」って言われてしまうのが関の山だった……。
だが、ヘッドが再販されたことによって、これからはエンジンをしっかりと直すことができる体制が整った。メーカーが手を差し伸べてくれた“エンジン直そうよ”という提案に対して、Z好きであれば答えていくべきだと思う。
古いZを完調で乗るというのが普通になれば「古いバイクでも安心して乗れるし、味があって素晴らしい」という見方に変わってくる。壊れない旧車が増えていけば、更にその先には旧車の世界全体が良くなっていく未来があるだろう!