近年活性化を続ける電動バイク市場の栄枯盛衰は目まぐるしく、ベンチャー・大手どちらも躍起になって開発競争を繰り広げる乱戦が続いています。
2018年のEICMAにて会場のだれもが目を剥いた「1,300万円の電動バイク」ことArc VECTOR。クラウドファンディングで1.5億円もの支援をかき集め、様々な革新的技術の開発に勤しんでいたArc Vehicleでしたが、2019年9月にひっそりと破産申請をしていたことが明らかになりました。
Arc VECTORってそもそもなに?
そもそもArc VECTORって知らないんだけど!という方にざっくり説明すると、こちらは新時代の幕開けを代表するべく開発されたハイエンド電動バイクです。
ゼロヒャク2.7秒、最高速度240km/hを誇るエイリアンデザインなカフェレーサーはバイク本体だけでなく、付属品もとっても魅力的でした。
ヘルメット内にヘッドアップディスプレイを備えたスマートヘルメットと、車の接近を触覚通知システムで教えてくれるハプティックボディアーマーがセットになっており、安全性とユーティリティを同時に確保したとても魅力的なパッケージでした。
詳細が知りたい方はこちらの記事をご参考ください!
いきなりの破産申請、一体何があったのか?
バイク系イベントでは毎度のようにCOMING SOON枠で「最高峰の電動バイク」として、他社の電動バイクに負けず劣らずの広告パフォーマンスを行っていたArc VECTOR。
一台にあたり1,300万円もの超高額な値をつけたスーパーハイエンドモデルを買える人はそうそういません。
超富裕層向けのモデルから始まり、同じ機能を備えた廉価版を今後生産していくことで一般市場にまで価格を落とし込むのでは、と考えられていたArc VECTORでしたが、残念ながらファーストロットを顧客に届ける前に会社が音を上げてしまったようです。
調達した1.5億円という開発費用で十分と見積もっていたようですが、製造業とは予想以上に開発費用がかかってくるもの。クラウドファンディングからわずか2か月で
計画は頓挫してしまいました。
投資されたお金はどこに?
2019年11月4日にイングランドにて開催されるグッドウッド・フェスティバル・オブ・スピードにて最終プロトタイプを発表し、その後すぐ生産販売を開始する予定でしたが、それを目前に計画は破綻してしまいました。
クラウドファンディングで投資したお金は、プロジェクト実行者が目標達成を失敗した場合、基本的には返ってきません。投資自体そもそもリスクが伴うもの。保険と金融商品によっては保障される場合もありますが、クラウドファンディングについては基本適用されない(クラウドファンディング保険に加入している場合を除く)ため、オール・オア・ナッシングのリスクに身を投じることになります。
今回に限ってはプロジェクト実行者が破産して事実上存在しなくなったため、クラウドファンディング運営者の規約によっては運営者が返済を肩代わりする、というケースもありえます。
2019年2月、日本のクラウドファンディングサービスを提供しているMakuakeで同じような問題が発生した際に、運営者であるMakuakeが代わりに債権者に返済する、という手段を取りました。
今回の件について、債権者への返金対応等はまだはっきりとした情報が発表されていません。額が額なだけに、クラウドファンディング運営者もおいそれと負担できないですよね。
続報が入り次第、またお知らせいたします。以上、Arc Vehicleの破産申請についてお知らせいたしました!