ドイツを拠点とする自動車部品と電動工具の大手メーカーBOSCH(ボッシュ)が、電動スクーター「eScooter」の新しいシェアリングサービス「Coup」をベルリンでスタートさせましたので、ご紹介いたします。
「Coup」とは?
電動スクーター「eScooter」の新しいシェアリングサービスであり、ボッシュの完全子会社としての社名でもある「Coup」。
「Coup」の電動スクーター・シェアリングサービスは、非常にシンプルな料金設定となっており、ベルリン市民にとって新たな移動手段の選択肢の1つを狙ってスタートしたサービスです。このシステムでは、最寄りの電動スクーターをいつでも検索・予約・利用でき、目的地に到着した後はそのスクーターを市街地のどこにでも乗り捨てられる仕組みになっています。
ボッシュ取締役会メンバーとして、このプロジェクトを担当するマルクス・ハインは、以下のように述べています。
Coupはボッシュにとって、モビリティの分野で初めてエンドユーザーやサービスの運営に関わるもので、ボッシュにとって新たな独立したブランドとなります。
このサービスを始動させるために、2011年に創業した台湾のスタートアップ企業である「Gogoro」が製造した200台のネットワーク対応電動スクーターが、ベルリンに配置されました。
渋滞緩和と環境問題の解決に貢献
大都市では交通渋滞が多く、駐車スペースも足りないため、パーソナルモビリティへ高いニーズがあります。特に若い世代は、モビリティと柔軟性を求めており、自家用車を所有することの必要性をあまり感じなくなってきています。また、ハイン氏は次のように述べています。
モビリティに対するニーズは変化しつつあります。ボッシュは、自身のモビリティとサービスソリューションを通じてこうした変化を形作っていくつもりです。
また、ボッシュはすでにコネクテッドパーキングマネジメント、クラウドベースのフリート管理、アプリベースのモビリティアシスタントなどのソリューションを開発し、さまざまな種類の移動手段の幅広い活用を支援しています。そして、このシェアリングサービス「Coup」はモビリティ・ソリューションズ・セクターに新たに加わる要素となります。
ヘルメットや予備バッテリーも完備
200台の「eScooter」は、ベルリン内の4つの地区で利用できます。電動スクーターの最高速度は45km/hで、四輪 / 二輪免許を取得している21歳以上の人なら誰でも乗ることができます。シートの下には収納スペースがあり、ここにヘルメット1個と2つの予備バッテリーが入っていますが、将来的にはヘルメットが2つ用意される予定です。
このスクーターの航続距離は約100kmなので、利用者が再充電について心配する必要はなく、充電はCoupが行うとのことです。
ロープライスな料金設定も魅力的
料金も一律で30分3ユーロ(約340円)、1日20ユーロ(約2,260円)という設定です。
このサービスには専用のアプリからアクセスし、簡単に操作できるインターフェイスを介してスクーターの検索・予約や料金の支払いを簡単に行えます。また、ヘルメットボックスを開けたり、走行を始めると、Bluetooth経由でeScooterと接続したスマホを通じて動作が確認されます。
同サービスのシェアリングプラットフォームの構築と運用については、緊密な戦略的パートナーシップをもとに、ボストンコンサルティンググループの合弁会社であるBCG Digital Venturesが担っているとのこと。
なお、同社のCEOを務めるMat Schubert氏は以下のように述べています。
私たちは、MVP(minimum viable product、最低限の機能をもった製品)のルールを基礎にしてこのサービスを共同開発しました。このベーシックバージョンを速やかに市場に投入し、”test & learn”を繰り返しながら、より洗練されたサービスをユーザーに届けたいと考えています。近い将来にはこのサービスの需要が都市エリアで非常に高まると見込んでおり、これをベースに、私たちはサービスの提供を徐々に広げていくつもりです。
ボッシュが、ベンチャー企業と共同で開発された、電動スクーター・シェアリングサービス「Coup」。これによって渋滞緩和や環境問題にも貢献しますが、何といっても「若者の乗り物離れ」や「レジャーの多様化」に一石を投じるサービスのではないでしょうか。
試験的にベルリンで展開しているサービスですが、一刻も早く日本でのサービス開始を期待します!