卵が先か鶏が先か…フェザーベッドフレームは「トライトン」から造られた!?

当サイトでもたびたび登場する「トライトン」。ノートンのフェザーベッドフレームにトライアンフのエンジンを搭載したメーカーの枠を超えて作られたハイブリッドバイクのことです。

この有名なカスタムバイクは1950年代半ばから製作されたと言われていたのですが、実はその歴史はもっと古く、第二次世界大戦中にすでに製作されていたということが判明したので紹介しましょう。

世界で初の「トライトン」

有名なマンクスノートンのフレーム=フェザーベッドフレームを製作したとして知られるマッカンドレス兄弟は、1944年にはスイングアーム・オートバイ・フレームを発明したといわれています。それだけでも驚きなのですが、このマッカンドレス兄弟、実はタイトルの通り、第二次世界大戦中に「トライトン」を製作していたというのです。

写真が、まさにその世界初のトライトンとなります。まずはヘッドライトのマスク部分に注目してください。灯火管制の都合で灯を調整するキャップが付けられていることがわかると思います。これが戦中のバイクの証ですね。

戦前からトライアンフ・タイガー100でレースに参戦

レックス氏(上写真左)は第二次大戦の前から自らのオートバイを調整し、1940年に新しいバーチカルツインのトライアンフ「タイガー100」に注目しました。彼の「タイガー100」は速く、レックス氏はその年にアイルランド500ccロードレースとヒルクライム選手権で優勝しました。

しかし、そんな彼のトライアンフでしたが、シャーシに不都合を感じ、レックス氏はトライアンフの体重分布を実験し始め、最終的には自分のフレームをデザインして、それがフェザーベッドの元になったというのがこれまで知られていた話なのですが、実はそのフェザーベッドフレームに辿り着く過程で、ノートン・インターナショナル・リジッド・フレームにトライアンフのエンジンを搭載していたようです。それが上写真の「トライトン」になります。

ですから、最初の「トライトン」は第二次大戦中にはすでに生まれていたというわけですね。

1944年に最初のレックス氏のアイデアを元にしたテストベッド機「ベニアル」が作られました。1930年代にジレラロンディーネの水冷式4気筒レーサーで使用されていたラグレスフレームと似ていましたが、シトロエン社製の車用の垂直型ショックアブゾーバを備え、スイングアームも装備されていました。

「ベニアル」

マッカンドレス兄弟はフレームの実験を繰り返し、重いスチール製のフェンダーとヘッドライトを取り除いたことでハンドリング性能が大幅にアップすることを発見。また、スプリングが必要であると判断し「ベニアル」のフレームを完成させました。

「ベニアル」の操縦性は抜群で、ノートンのワークスマシンのフレームよりも優れていることが判明し、ノートンに彼のデザインしたフレームを販売する意向を固めることにしました。これこそがフェザーベッドフレームとなっていくわけです。

プロトタイプフェザーベッドフレーム

1949年に製作されたプロトタイプのフェザーベッドマンクス。依然としてクルマ用の垂直型リアショックを搭載していました。

卵が先か鶏が先か

「トライトン」は優秀なトライアンフのエンジンを、これまた優秀なフェザーベッドフレームに搭載するというカスタムバイクですが、実はそのフェザーベッドフレームを製作する過程で「トライトン」がすでに作られていたという、卵が先か鶏が先か的なお話でした。

マッカンドレス兄弟……兄レックス氏と弟クロミエ氏はエンジニアリングの学位を持たずにオートバイ業界の有り様を変えた数少ない兄弟になります。

参考-the vintagent
センカクダイバー

センカクダイバー

悲運の元パチンコ・パチスロライター。ベスパ歴27年、ミニクーパー歴2年のモッズ系猛禽類。旧車を好むクセに機械イジりや整備はサッパリというご都合主義者。