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当サイトの読者なら、カワサキ「Z1」というくらいは聞き覚えがあるのでは? カワサキ「Z1」は、カワサキが1972年から1976年にかけて製造販売していた総排気量903 ccのバイクのことです。そして、恐らくバイク史の中でも、燦然と輝くトップクラスの名車でもあります。
今回はそんなレジェンドバイク、カワサキ「Z1」についておさらいしていきましょう。
カワサキ「Z1」の誕生
カワサキは、北米市場を強く意識し、空冷4気筒750ccの大型車構想を持って試作を行っていましたが、1968年に、当サイトでもご紹介したホンダ「ドリームCB750FOUR」が発表されたことで、完全に出鼻を挫かれる格好となりました。
これを受け、排気量から見直し1972年秋に発売されたバイク、これこそがカワサキ「ZⅠ」です。
開発コンセプトは「究極のZ」
「Z」と言えば、バイクではカワサキを思い浮かべると思いますが、その「Z」という言葉を初めて使ったのが「Z1」です。「Z」はアルファベットの最後…つまり究極を意味し、1はナンバー1、すなわち「究極のナンバーワンという意味になります。
打倒ホンダ「ドリームCB750FOUR」として、DOHC エンジンを採用、足つき性に配慮するなど、後発の利を生かした設計で、差別化を図るとともに商品性も向上させました。クラス最高のパワーに加え、曲線的で優美なデザインの「Z1」はアメリカを中心に大ヒットし、世界に「高性能・大型車のカワサキ」のイメージを定着させました。ちなみに円安ドル高(1ドル=300円)という背景も影響していたと言われています。
カワサキ「ZⅠ」 のスペック
- エンジン:空冷4サイクルDOHC4気筒
- 排気量:903cc
- 最高出力:82ps/8500rpm
- 最大トルク:7.5kg-m/7000rpm
- 車両重量:230kg(乾)
コードネームは”ニューヨークステーキ”
「ドリームCB750FOUR」の開発コードネームは「ナナハン」でしたが、「Z1」にも同様に開発コードネームがありました。それが「ニューヨークステーキ」です。神戸(川崎重工の所在地)牛を超える旨い肉(旨いバイク)をアメリカに提供しようという意味だそうです。ホンダのストレートすぎるネーミングよりは、凝ったネーミングですね。
カワサキ「750RS」
「Z」の名前を普及のものとし、世界的に「カワサキ」の名前を知らしめたのは「Z1」ですが、国内では弟分の「Z2」こと「750RS」のほうが有名です。これは750cc規制の関係で、国内向け仕様に販売されたのが「Z2」だったからですね。このゼッツーも「ナナハン」の代名詞の一つでした。
人気漫画『あいつとララバイ』『湘南純愛組!』『GTO』に出てくる主人公の愛車はいずれもZ2です。
「Z1」も「Z2」も型式呼称!?
圧倒的に「Z1」と呼ばれることが多いですが、「Z1」はエンジン型式であり、正式な車名は「900 Super Four」だそうです(諸説あります)。その裏づけとして、当時の欧州向けカタログにもその名前記されています。そのため海外では未だに「900 Super Four」と呼ばれています。しかし、たとえ愛称だったとはいえ、もはや「Z1」と呼ぶしかありませんよね。ちなみに「Z2」も同じで、本来は「750RS、Z750FOUR」が正式車名です。不思議な現象ですよね。
プレミアが付くが維持は容易!?
かくして、もはやレジェンドバイクとなった「Z1」。現在ではもプレミアが付いて、値段は高騰の一途を辿る一方となっています。これは国内だけでなく、海外でも同様となっているようです。ただ、ユニークなのは、今でも新パーツが出るほどアフターパーツマーケットが充実しており、他の絶版車に比べると、遙かに維持が容易となっています。これは意外なポイントですね。
それでは最後に「Z1」のサウンドを動画でお楽しみください。
いかがだったでしょうか? 何かとレジェンドと言われる「Z1」。カワサキの名を世界に広めた立役者は、サウンドもフォルムも非常に美しいですよね。こんな美しいバイクのオーナーになってみたいと思う方も少なくないことでしょう。筆者も余裕があればもう一度所有したいバイクの一つです。