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コロナの影響で2年ぶりに開催された「Xmas TOYRUN(トイラン)」。アメリカで発祥された素晴らしいイベントで、クリスマスに多くの子供たちにプレゼントをあげようと、ハーレーに乗って持ち寄ったことが始まりで、今や全世界で開催されている。「やらない善より、やる偽善」をスローガンに掲げ、サンタやトナカイのコスプレをしたバイカーが施設を巡り、ボランティア活動を行うというものだ。
現在は東京以外に名古屋と福岡にも拠点があり、今回は東京で開催されたトイラン・パレードをレポートしよう。
今年一年を締めくくる一大イベント「Xmas TOYRUN」
日本でもいち早く取り組んだのがハーレーサンタCLUBの主催者・峰たかし氏で、今年で14年にもなり、数年前からは名古屋でも同時開催されている実に楽しいイベント。
そして今年も寄せられたお菓子やぬいぐるみ、文房具などは、この日のうちに都内にある児童養護施設4箇所(400人)の子どもたちへプレゼントされた。
また、イベントとして都内をパレードすることで、今や大きな社会問題となっている児童虐待の防止を呼びかける運動も兼ねており、警視庁が毎回先導してくれることからも意義の深さが伝わるだろう。
わずかな参加費で堂々と都内を走れるこのパレードの参加条件は、50ccを除くバイクで、サンタクロースやクリスマスに関連する仮装をすることだ。
基本的にはサンタクロースやトナカイのコスチュームがメインだが、なかには完璧にひげやお腹のふくらみまでサンタそっくりに再現したライダーや、顔全体にメークした強者までいる。
ちなみにヘルメットの上からでも被せられる大きなサンタ用帽子は主催者が準備をしており、無料で貸してくれる。探してもなかなか売っているものではないので、これが非常に助かる。
今回はフェラーリやランボルギーニなどのスーパーカーも多く参加したが、やはり主役はバイク。一番多い車種は、なぜかサンタクロースのコスチュームと相性の良いハーレーで、バガースタイルやゴリゴリのチョッパーも新旧揃っていた。
もちろん車体は派手なクリスマスデコレーションで飾られており、会場に来てから友人同士や家族でどのように飾り付けるかを話しあいながら作業する様子は非常に楽しそうだった。なかには車体が見えない程の飾りでドレスアップするライダーもいた。
実は一般観衆にはもっともウケがいいのがこのタイプ。特に子どもたちには大人気。
普段は少し近寄りがたい強面のハーレーライダーも、今日はみなニコニコ顔。また、女性ライダーや夫婦、家族連れのトライクやサイドカーなど、参加者や参加マシンも多種多様で、いたるところで即興の撮影大会が始まるのもトイランの特徴。
スタートしてからは、恥じらいを捨てて歩行者や他のクルマなどに思い切り手を振るのも大事な振る舞いのひとつ。多くの人たちが笑顔で手を振り返し、スマホで撮影してくれる。走行ルート上にある原宿交差点の信号待ちでは、ハリウッドスターさながらの人気者になれる。参加者にとって、これも一つの醍醐味なのだろう。
バイクの楽しさを伝える大切なイベント
参加者一同、トイランの主旨はもちろん理解したうえで、やはり多くの人にバイクを観てもらう機会ととらえる本音もある。
コロナ禍でうんざりするような日々が続くからこそ、この日だけは参加者それぞれが笑顔で主役になれる、そんな素晴らしいイベントだったのではないだろうか。
社会的意義はもちろん、周囲の人々を笑顔に変えてくれる素敵なバイクイベントだからこそ、来年も無事に開催できることを祈るばかりだ。