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クルマ好きは、時に型式で愛車を呼び合う。”ハチロク”などは、メーカーのトヨタでさえ車名に復活させてしまったほど。
“ケーピー(KP=スターレット)”、”エーダブ(AW=MR2)”、”サンニー(R32=スカイライン)”など、時代を代表してきたクルマたちは、親しみを込めて、そう呼ばれてきた。
そして今でも絶大な人気なのが”シーテン(C10=スカイライン)”、俗にいう箱型のスカイライン、”ハコスカ”だ。
ハコスカ、生みの苦しみ
プリンス・スカイラインの血統を受け継いだ、3代目スカイライン。当時はグランプリ選手権で大活躍していて、その勇姿に誰もが憧れた。当時の選手権の様子は「日本グランプリ」というキーワードで検索するとたくさん出てくる。
そんな時代に生まれたハコスカだが、実はいろいろなバリエーションがあった。知らない人にとっては、どれもハコスカとまとめられてしまうが、ちょっと型式に注目して、その種類を振り返ってみた。
ハコスカが生まれた時代は、ちょうど日産自動車とプリンス自動車が合併した頃。別々の会社が一緒になって、一台のクルマを生み出す苦しみは、さまざまな場所で語られている有名な話。
心臓の異なるスカイライン
3代目スカイラインとして、1968年に初めて誕生したのがC10。セダンタイプで1500ccエンジンのG15を搭載。レースで活躍していたスカイラインだったが、クーペではなく、セダンで登場したことこそが時代といえるのかもしれない。続いて、2000ccエンジンL20を搭載したGC10が登場。
面白いのはエンジンの起源であって、G15はプリンス、L20は日産から生まれた別系統のエンジンであった。
1969年にはレーシングマシンエンジンをベースに開発された2000ccエンジンS20を搭載したPGC10が世に出た。これが有名なスカイライン2000GT-Rだ。まだ、クーペモデルのスカイラインがなかったので、セダンタイプでの最強マシン投入であった。そして、この年1800ccエンジンのG18を搭載したPC10が誕生している。
1970年は待ちにまったクーペモデルの登場。レースでは空力抵抗などが話題になり始めていて、タイムアップにクーペタイプの投入が切望されていた。型式はG18搭載のKPC10、L20搭載のKGC10、S20搭載のKPGC10が誕生。翌71年にはG15搭載のクーペモデルKC10が誕生して、ハコスカの型式はコンプリートされた。
いかがだっただろうか。”C10″を基本の型式として、エンジンがL20になって”G”、プリンス系のG18、S20を搭載して”P”、クーペで”K”がそれぞれ追加されると覚えておけば、ハコスカの型式をだいたい理解したといっていいだろう。