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オーストラリアのヘルメットメーカー「Vozz」が発表したフルフェイスヘルメット「Vozz RS 1.0」…カタチ的にはSHOEIの「XR-1100」に似ているが、このヘルメットがあまりにも斬新だったので紹介したい。
グローブを着けたままでも簡単に着脱が可能
「Vozz RS 1.0」は前後にパカっと開くことで着脱を可能にするという斬新なコンセプトのフルフェイスヘルメットだ。具体的に何が普通のフルフェイスヘルメットと違うかというと、帽体が前後に分割して着脱するという構造に加え、あご紐もないのでグローブを着けたままでも着脱が可能となるのだ。
あご紐がなくなったことによる利点は多い
ヘルメットが前後に分割して開閉することはわかったが、あご紐がないのはどういうことだろうと思った方もいることだろう。まず、ヘルメットの首の部分がフィットする形状になっていることに加え、あごの下に調節可能なパッドによって固定され、あご紐の代わりを果たしている。また、帽体に3サイズ、クッションパッドが全6サイズが用意され、フィット性を高めていることもあご紐をなくすことに一役買っている。この構造により、首周りからの風切音やバタつきが低減され、安全性も向上されているという。
着脱が簡単になっただけでなく、このようにあご紐がなくなったことによる利点は多いのだ。
ヘルメットが前後に分割するため救急措置も可能に
ヘルメットが前後に分割するメリットもある。事故でライダーに意識がない場合、むやみに頭を動かすと危険な場面などに、後頭部のヒンジ部分を外すことでヘルメットが分離(完全に分割するにはドライバーが必要)できるため、頭を動かす事なくヘルメットを脱がすことが可能となり、救急措置も従来に比べると安全に行なえるのだ。
開発には10年近くを費やしている
この斬新過ぎる「Vozz RS 1.0」、メーカーによると生産に漕ぎつけるまでに10年近くを費やしているとのこと。やはり、斬新な商品の裏にはたゆまぬ努力があったのだ。
現在ではオーストラリアはもとより、欧米、日本、中国といった各国で特許と商標も取得しているという。米国のDOT、欧州ECEによる安全性の認証も受けており、SG/JIS規格の取得に関しても計画中だとか。実現すれば日本でも購入が容易となる。
果たしてモンゴロイドにもフィットするのか?
しかし、疑問点がないわけでもない。まず、モンゴロイドとそれ以外の人種 (コーカソイドやオーストラロイドなど)では、頭のカタチが違うが、果たしてあご紐がなくても大丈夫なほどフィットするのだろうか? 6サイズあるクッションパッドでそういった問題は解決済みなのだろうか? 現物を見て、着用しないと不安な点がないこともない。
現在、「Vozz RS 1.0 」はオーストラリアでの販売が開始されている。価格は日本円にして約11万円だ。 この金額が安いか高いかについても、現物と向き合って考えたいものである。