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ルパン三世の愛車として語られることが多い車と言えば、やはり「フィアット500」であろう。丸いフォルムの小粋なイタリア車は、ルパン三世の愛車として実にそれらしい雰囲気をかもし出している。実際、「ルパン三世愛車」で画像検索してみても圧倒的にヒットするのはフィアット500である。しかし、ルパン三世が作中でフィアット500を大々的に乗り回していたのは劇場版「カリオストロの城」くらいで、その他でも乗っているシーンはあるようだが、少なくともTVシリーズでフィアット500を愛車にしていたことはない。それだけ「カリオストロの城」の影響力が強く、印象的だったと言ってしまえばそれまでなのだが、もっと大々的に乗っていた車も存在するのである。ここでは、そんな印象の薄かった(?)ルパン三世の愛車について語ってみよう。
TV版第1シリーズの愛車はメルセデス・ベンツSSK
TV版第1シリーズというと、まだルパンのジャケットが緑色だった頃で、これを懐かしいと感じるのは40代以上であると思われる。ルパン三世の記念すべきTV版第一弾でルパンが愛車にしていたのは、「メルセデス・ベンツSSK」である。ノーズの長い2シーターのオープンカーを覚えている方も少なくはないだろう。もちろん、ボディカラーは黄色と黒のツートンだ。ちなみにルパンはこれにフェラーリV型12気筒エンジンを搭載し、最高時速300km/h超えを実現させたという設定がある。
このメルセデス・ベンツSSKは、実にクラシカルな雰囲気だが、それもそのハズ、製造されていたのは1928〜1932年である。製造台数も極めて少なく、購入するのは極めて困難ということである。ちなみに近年オークションに出品されたようだが、落札価格は日本円にして7億4400円だったとのことである。ただし、レプリカならは日本の光岡自動車から200台限定で発売されていたようである。車種名は「BUBUクラシックSSK」興味がある方は検索してみるといいだろう。
TV版第2シリーズの愛車はアルファロメオ・グランスポルト・クアトロルオーテ
TV第2シリーズと言えばルパンのジャケットが赤色になった作品であり、一般的にルパン三世でイメージされるのはTV第2シリーズのほうではないだろうか。この時のルパンの愛車こそが「アルファロメオ・グランスポルト・クアトロルオーテ」である。ノーズの長い2シーターのオープンカーで、先のシリーズで使われていたメルセデス・ベンツSSKと似た雰囲気を持った車である。
それもそのハズ、当時の作画監督として参加していた北原健雄が「TV第1シリーズ」前半に登場したSSKと似たイメージの車を「カーグラフィック」から探し出して採用したというのだから、似ていて当たり前なのだ。アイキャッチでルパンが乗った瞬間にタイヤが取れてズッコケるというシーンを覚えている方も多いだろう。ルパンと言えば、ズバリ、アルファロメオ・グランスポルト・クアトロルオーテと言っても差し支えないほど、頻繁に活躍していた愛車である。ちなみにこちらは1965年から1967年まで作られていたモデルで、生産台数は50台とも75台とも言われている。日本には6台が輸入されたとのことである。
TV第1シリーズの後半と「カリオストロの城」ではフィアット500
「ルパンの車」として語られることが最も多い「フィアット500」はTV第1シリーズの後半から登場した。これは当時の作画監督である大塚康生の愛車であったものを演出の宮崎駿が作品に登場させたことに端を発しているという。作中では、現実のフィアット500としてはあり得ないほどの活躍を見せている。
劇場版「カリオストロの城」で登場したフィアット500は、エンジンフードがフィアット500のカスタム版であるアバルトのように開き、スーパーチャージャーを搭載しているという設定になっている。TV第1シリーズでは空色のボディーカラーで、「カリオストロの城」ではクリームイエローの車体が登場している。また、「カリオストロの城」ではクラリスの愛車としてシトロエン2CVが描かれているが、これは宮崎駿の愛車がそうだったからだということだ。
パートⅢではフォルクスワーゲン・タイプ181
「フォルクスワーゲン・タイプ181(クーリエワーゲン)」は、1969年から1983年にかけてフォルクスワーゲン社で製造された軍用の小型軍用車輌で、ビートルを基本としており、第二次世界大戦中にドイツ軍により使用されていたキューベルワーゲンの改良型といえる車だ。実際、実にいかつい軍用車両らしいボディラインが特徴的だ。残念なことは、筆者がおっさんであり、フォルクスワーゲン・タイプ181に乗っているルパン三世の姿を見たことがないということであろうか。
ルパン三世に登場する車は特徴的な名車揃い
ルパン以外の登場キャラが乗る車も、「ミニクーパー」、「アルファロメオ・1750GTヴェローチェ」、「アルピーヌ・A110」、「スバル・360」、「ACコブラ」、「メルセデス・ベンツ300SLR」、「日産ブルーバード410」型などなど、特徴的な名車がズラリ勢揃いである。作品自体が古いこともあり、登場する車もクラッシックカーの域に到達してしまったが、高級車から大衆車まで、多種多様な車が実に魅力的に描かれている点も同作の特徴の一つと言える。
同作品を見直す機会があれば、作中に登場する車にも目を向けてみてはいかがだろうか?
ロマンあふれるクラッシックカーたちの活躍に見惚れてしまうこと請け合いだ。