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ホンダ「SS50 」…というと”?”と思ってしまう方も、「ベンリィ」と言った方が通じやすいかもしれませんね。今回は、そんな「ベンリィ」についてのお話です。
ホンダ「ベンリィ SS50」 CUSTOM MOPED
フランスには「パンクス・ピーク」というドラッグレースがあり、近年になって盛り上がりを見せているようです。ジョージウッドマン氏も、そのレースに出たいと考える一人でした。しかし、彼はレースに出られるようなバイクは持っていなかったのです。強いて挙げれば、ホンダ「SS50」が一台、彼の手元にあったのは、そのバイクだけでした。
そこで彼はあるインスピレーションを受けました。ホンダ「SS50」をカスタムして、レースに出てしまえ!と。
ホンダ「SS50 」の原型はこちら
ベンリィは、1953年に製造開始されたJ型以降、主に150cc以下の小排気量車に付与されたシリーズの名称です。中でも「SS50 」は、50ccクラスのロードスポーツ車で、カブ系横型エンジンに高圧縮型ピストン・ハイカムシャフト・大径キャブレターで最高出力6ps/11,000rpmまでチューニングし、同社の50ccクラスでは初めてリターン式5段トランスミッションを組み合わせたロードスポーツ車になります。
フロントカウルを木製で製作
ジョージウッドマン氏は、ホンダ「SS50」のカスタムを木製のパーツで表現したいと思うようになり、フロントカウルとシートカウルを木製で製作しました。素材はアトリエ近くに横たわっていた材料から作られました。木材にはバーチ材のマルチプライと、桐のミックスが用いられたようです。
ワンオフで造られたフロントカウルを正面から。ニコちゃんを横向きにしたようなデザインが施されていますが、そこはふざけなくても良いかなと…。ニコちゃんの内側にはLEDヘッドライトが取り付けられております。
シートカウルは、アンティーク家具のような温かみのある形状です。
また、シートカウルにはご丁寧にテールランプやナンバープレートステーまで用意されています。ちなみにシートカウルとナンバープレートステー兼リアフェンダーは、手間を惜しまずワンピースで製作されています。
フレーム・タンク・エンジンはそのまま
フロントフォークやスイングアーム、タイヤ、ハンドルなどはワンオフまたは流用パーツなどが取り付けられ、かなりのカスタムが施されていますね。また、何と言っても木製のフロントカウルとシートカウルに目を奪われがちです。しかし、ガソリンタンクやフレームはノーマルのままで、あくまでも「SS50」の”らしさ”は残されています。
エンジンは、デイトナ製のパーツなどでリビルトされたホンダドリームユニットを積んでおり、最大で27馬力を発揮するとのこと。
スプリントマシン「SS50」
リアホイールには18インチのスポークホイールを装着。リアサスペンションは、かなりハードなセッティングが施されているようで、あまりストロークしないようになっているようです。フロントホイールに装着された、大口径ドラムブレーキのような黒いディスクは、BMX用のパーツを流用したそうです。
元々、レーシーな雰囲気を持った「SS50」ですが、このような特殊なカスタムを施されたことで、さらにレーシーかつ独創的な雰囲気をまとったバイクへと変貌を遂げました。果たしてスプリントマシンとして、「SS50」は活躍することができるのでしょうか。走行シーンなど、ぜひ、一度見てみたいですよね。