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先日、スズキのイギリス法人(Suzuki Bikes UK)が名車・珍車を問わず、旧車のパーツ供給や旧車レースチームのサポートに力を入れている、とご紹介しました。
今回は、同社がサポートするレーシングチーム「Team Classic Suzuki」が2016年シーズンに走らせたレーサー「XR69(GS1000R)」をご紹介しましょう!
Suzuki XR69
そもそもXR69の源流はスズキがヨシムラと組んだ1976年に求められます。当時、既に圧倒的な力を持っていた2ストローク勢に対抗すべく開発された、スズキの市販車「GS1000」をベースとするレーサーです。
1978年に登場したXR69は、ヨシムラによるエンジンチューニングの結果、最高出力はノーマル車体の能力を遥かに超えた130bhpにまで高められました。
が、資金力に勝るライバルが4バルブ化していたのに対して、XR69は2バルブ。吸入バルブを可能な限り長く開けるという手法が採られました。そのため”Omega”鍛造ピストンを採用するまではピストン寿命がわずか800km、そして低速域では扱い難いエンジンでした。
高出力化されたエンジンに対応する車体には、スズキがGPレースで培ったテクノロジーを投入しています。フレームはRGA700(XR23)をベースに開発されています。
フロントフォークはカヤバ製を採用。リアショックもデビュー当初はカヤバのツインショックを装備していました。
このレーサーでは、オリジナルが後に採用したフルフローターのモノショック仕様としています。
その結果、XR69は当時最も優れたレーシングバイクと呼ばれ、1980年代中頃まで、ヨーロッパのサーキットで戦い続けました。
Suzuki XR69 のディテール
日本ではXR69(GS1000R)と言えば、1980年の鈴鹿8耐優勝車、黒赤のヨシムラ・スズキですが、Team Classic Suzukiは現代のイギリスを拠点とする、Suzuki Bikes UKがサポートするチーム。ということでカラーはエクスターが採用されています。日本人的には残念ですが、ガソリンタンクにはヨシムラの文字も!
ヘッドカバーを見てピンと来た方は鈴菌さん! 本車両のエンジンは「GS1000」ベースでなく、「GSX-R1000G」用に換装されています。そのうえで、カムプロファイルの変更、チタンコンロッドの採用といったチューニングが施されています。
キャブレターは現代的に(といっても古いパーツですが)ヨシムラTMR!
ブレーキにもブレンボ2ポッドをセレクト! こうして当時の雰囲気を大切にしつつ、より現代的なパーツを組み込んだ結果、車両重量はオリジナルの175kgから170kgへと軽量化に成功しています。
この信じられないほどに美しいレーサー、冒頭でも記しましたが、決してショーバイクではありません。2015年にイギリスにてレースデビューを飾り、2016年シーズンを戦いました。
マン島Classic TTの結果は……
今年のマン島 Classic TTでは126.808mphラップというレコードを叩き出して見事に優勝を果たしました!
芸術品のように美しく、そして速い Team Classic SuzukiのXR69。今後も大切にされ、そして次世代に引き継がれることでしょう!