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ホンダ「Dio110」に新色が追加されましたね。
今回は、ホンダの次世代エンジン「eSP」を搭載する同車を紹介しつつ、その次世代エンジンを復習しましょう!
ホンダ「Dio110」
コチラが「Dio110」。軽快な走りとスタイリッシュな外観などで好評を得ている原付二種スクーターです。
「eSP(イーエスピー)」エンジンを搭載しており、流麗で張りのあるスタイリングを採用。安定感のある乗り心地をもたらす14インチの大径ホイールを採用したほか、シート下のラゲッジボックスは18Lの容量を確保。
さまざまな場面で使い勝手に優れ、幅広い層のお客様に支持されている原付二種スクーターです。
2017年モデルでは、上掲の新色(2色)が新たに加わったことで、継続色(3色)と合わせて……
という全5色のラインアップとなりました。
発売日と価格は……
発売日は4月14日、車両本体価格(消費税込み)は……23万1,120円(マットギャラクシーブラックメタリックは23万4,360円)とされています。
続きまして、少し長くなりますが、「eSP」エンジンについてご紹介しましょう。
ホンダ「eSPエンジン」とは?
コチラがタイトル画像にも掲載した「eSP」。2012年に発売した「PCX」に初搭載されて以降、世界各地に、その地域に応じた仕様に変更、搭載されている、ホンダの次世代エンジンです。
ちなみに「eSP」とは、enhanced(強化された、価値を高める)、Smart(洗練された、精密で高感度な)、Power(動力、エンジン)の略。低燃費技術やACGスターターなどの先進技術を採用し、環境性能と動力性能を高めたスクーター用エンジンの総称です。
では、具体的には、どんなことが行われているのかと申しますと……
こ~んな事が行われているワケです。良く読み込んでみますと……
- 混合気の最適化
- 日常よく使う速度でのエンジン回転数抑制
- フリクション低減
に大別されます。以下、順を追ってご説明しましょう。
混合気の最適化
常に最適な量のガソリンを供給する、PGM-FIを搭載しています。PGM-FIとは、エンジンが吸入する空気の量に対し適正量のガソリンを供給。また適切な時期に点火を行うための装置のこと。適正な燃焼を促すには、供給する酸素の質量に対して適量のガソリンを供給する必要があります。
既存のキャブレターは、供給する空気の”容積”を基本に適量のガソリンを供給していました。ところが、一定容積の空気に含まれる酸素の”質量”は気温や気圧によって変化します。このためPGM-FIでは、吸入空気の温度や圧力をセンサーにより検知、ECUにより空気中の酸素の質量を算出。これをもとに適正な量のガソリンをエンジンに供給します。
日常よく使う速度でのエンジン回転数抑制
一般的に混合気比率が同じなら、エンジン回転数が低い方が燃費は良くなります。日常よく使う低回転でトルクの出るエンジンにすれば、低燃費でこれまでと同じように走ることができます。eSPでは、低回転からトルクを出すときに発生しやすくなる「ノッキング」を防ぐための数々の技術を採り入れることで、低燃費とパワフルな走りを両立させています。
その具体的内容はコチラ。
- 燃焼速度の向上:燃焼速度を向上させ、燃料がシリンダー内の熱によって自然に着火することを防ぐ。
- 吸排気効率の向上:素早い排気と吸気速度の向上に加えて、混合気を旋回させることでシリンダー内に均一に素早く混合気を供給。高速でスムーズな燃焼を促す。
- 冷却効率の向上:シリンダー内部の冷却効率を向上することによって燃料がシリンダー内の熱によって自然に着火するのを防ぐ。
さらに……
高速でスムーズな燃焼を実現するため、1.吸気ポートの最適化、2.スキッシュの設定、により、流速を上げるとともに混合気の複雑な流れをコントロール。これにより点火プラグの着火によっておこる火炎伝播の的確化がなされ、高速かつスムーズな燃焼が促されます。
- 吸気ポート形状の最適化(とタンブル):吸気ポート形状と長さを調整。混合気の流れをスムーズにして流速を向上させるつつ、燃焼室内でタンブル(縦方向のうず)を発生させます。そのため混合気がすばやく均一に分散。ノッキングの起こりにくい、スムーズな燃焼を実現しました。
- スキッシュ:点火プラグの対面にはスキッシュを設置。スキッシュとは、燃焼室とピストンの間に設けられた小さな隙間のことです。ピストンが一番上に達する際、この隙間で圧縮された混合気が点火プラグに向かって吹き出します。これにより燃焼後期の燃焼速度が速まります。
また、変速タイミングの最適化も行わており、トルクカムの形状と、トルクスプリングの硬さを見直しが行われています。それもまた、日常よく使う速度でのエンジン回転数抑制に役立っています。
フリクション低減
コレは最も一般的に知られている部分だと思われますが、実に地道に改善が行われています。エンジンでは、摩擦抵抗、慣性抵抗、屈曲抵抗、撹拌抵抗、流体抵抗、空気抵抗、という抵抗が存在するわけですが、それを設計面、また使用パーツの変更等により、減少させています。その例を一つ挙げておきましょう。
それがオフセットシリンダーの採用。従来のピストンとシリンダーの位置関係では、膨張行程におけるピストンは斜めに力を受けながら下がるため、摩擦抵抗が大きくなっていました。そこでシリンダーの位置をずらすことで、ピストンがまっすぐに下がるようにして摩擦抵抗を抑えて、燃費性能を向上させました。
他にも、軽量・低張力ピストンの採用、ローラーロッカーアームの採用などなど、私たち一般ライダーにも分かりやすい使用パーツ変更も多数採用されています。
次世代エンジンは、確かに最新技術の塊だった!
いかがでしたでしょうか? 「Dio110」のカラー追加に合わせて、「eSP」を復習してみました。さすがに次世代エンジンと謳われるだけあって、確かに根本から設計し直された最新技術の塊でしたね!
「Dio110」自体は地味なスクーターですが、「次世代エンジンが搭載されているのだよ……」と心ではニヤリとしながら乗車したいものです。