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「拳銃」という言葉を耳にして、あなたは何を真っ先に思いつきますか?それがなんであれ、実はもう「時代遅れのクラシック 」かもしれません…… 今回は最近の拳銃トレンドについてお届けします。
「ハンマー式」は時代遅れ!これからは「ストライカー式」!
有名な拳銃を並べてみましょう。コルト・ガバメント、M9ベレッタ、スミス&ウェッソンM29、グロック17…… どれもアクション映画で頻繁にぶっぱなされている拳銃たちですが、今例に挙げた拳銃たちの中でひとつだけ仲間はずれがいるのに気づいたでしょうか?
今までならそう、「S&W M29」がリボルバーだから、というのが正解でした。しかし、2018年現在ではずばり「グロック17」が答えなのです!理由は簡単、ほかの拳銃たちは「ハンマー式」、グロック17は「ストライカー式」の拳銃だからなのです。
ストライカー式とは銃弾の雷管をイグニッションする「ファイアリング・ピン」がスライド部分に一体化・収納 されている銃を指します。
それに対して、従来の拳銃はハンマー(撃鉄)でファイアリング・ピンを打ち、それが弾丸の雷管にイグニッションするというものでした。
この機構を省いてスライドに一体化・内蔵してしまうことで発火プロセスを短縮し、さらには防塵、動作不良防止、部品数削減などを一気に成し遂げてしまう画期的な発明が「ストライカー式」なんです。
コスト・メンテパフォーマンスの向上のため、近年世界中の軍はストライカー式を導入しようとする傾向にあります。
素材は金属じゃありません!強化ポリマーのココがすごい!
銃は金属製のイメージがありますが、最近では銃全体の60%が強化ポリマー、スライドや残りの内部パーツのみが金属製というのがスタンダードになりつつあります。強化ポリマーは金属より熱伝導性が低く、コストも低く、しかし重量は軽く、劣化する要素が金属に比べて少ないです。
金属製だと発砲した際の熱が蓄積し、そのうちベーコンが焼けるくらい熱く なってしまいますし、寒冷地ではキンキンに冷えて肌とくっつき離れなくなってしまうことも。さらに、雨水や海水による錆・風化・腐食も起きてしまいます。
強化ポリマーはその点ではめっぽう強く、繊維構造により強度も確保できているのでまさに理想的な材料とも言えます。唯一の懸念としては紫外線による劣化が挙げられます。
パーツを変えてサイズ調整!?
最近のニュースでは米陸軍の正式採用拳銃トライアルで最優秀成績をおさめた「SIG SAUER P320」はストライカー式であるだけでなく、フレームやグリップのパーツを換装させるだけで様々な用途やユーザーに対応できる柔軟性を持ちます。
近年、米陸軍では女性隊員も増加傾向にあり、2012年に公開されたANSUR II測定からも「兵士の手のひらサイズ」にばらつきがあることが見て取れます。様々な手のひらのサイズに対応するためにもパーツ交換システムは必要不可欠ですよね!
こちらが正式採用決定となった「SIG SAUER P320」、改め「M17」「M18」の動画です。
「拳銃」をイメージしてM17だけでなく、グロック18、S&W M&P、CZ P-10、H&K VP9などが思い浮かんだのなら、あなたはとっても情報通でモダンなミリタリー博士です。ぜひ仲良くしましょう。